目次
①内部リークの資料は本物だった!!
②内部リーク資料は「職員が想像力たくましく書きすぎた」
③「規制庁職員の見解を公開すると国民が混乱するので不開示」
④国会の法案提出に無理やり合わせる規制庁に独立性とは
⑤事前協議は「自民党の参院選公約」をエネ庁が規制庁に説明していた!
3行まとめ
・高経年化原発(古い原発)の運転延長に際して、資源エネ庁と原子力規制庁が事前協議をしていたという内部資料が、原子力資料情報室(NPO)にリークされ、2022/12/21に緊急記者会見があった。
・同日の原子力規制委員長会見で質問が相次いだが、山中委員長は資料も事前協議も把握していなかった。
・しかし、12/27の記者ブリーフィングで、内部リークの資料は本物と認めた。
2022/12/21 原子力資料情報室、緊急記者会見
原子力資料情報室の緊急オンライン記者会見の内容は、内部通報者からの資料提供だった。
リークされた資料は、原子力規制庁の作成資料で、
8月時点で、原発の運転期間延長に関する検討に入ったというものだった。
これまで、原子力規制委員会の山中委員長は、10月5日の規制委員会でエネ庁の運転期間延長の検討状況をヒアリングし、それから規制庁の検討を指示した、と発言していた。
内部資料が本物であれば、規制委員会の検討の前に、エネ庁と規制庁の事務方が事前協議をしていたことになり、大問題である。
https://cnic.jp/wp/wp-content/uploads/2022/12/c073172071d11ff2153fb9c2066a60ca.pdf
原子力資料情報室の資料より
なんのために原子力規制委員会ができたのか
エネ庁と規制庁が事前協議をしていたら何が問題なのか。
それは原子力規制委員会の成り立ちを思い出してほしい。
2011年3月から続く福島第一原発事故は、原子力規制が不十分だったという反省がある。
国会事故調査報告書には「規制の虜」と表現された。
規制される側が、規制する側をコントロールしていたというのだ。
原発事故前は、原子力推進側の資源エネルギー庁と、原子力規制側の原子力保安院が、同じ経産省の傘の中にあった。
それも規制が不十分だった一因では、ということで、事故後、原子力保安院は解体され、
環境省の外局の三条委員会として、原子力規制委員会が2012年9月から発足した。
(三条委員会とは、高い独立性を有する。他に公正取引委員会、運輸安全委員会などがある)
また、原子力規制庁の職員が、エネ庁などの原子力推進部門に戻ることができないというノーリターンルールも定められている。原子力の規制と推進の分離を徹底するという趣旨である。
それなのに、高経年化の運転延長という、原発事故発災後、最大の政策転換に関して、
規制庁とエネ庁が、協議・すり合わせをしていたというのだ。
2022/12/21 山中・原子力規制委員長会見
内部リークの緊急記者会見の同日、山中委員長会見では、この資料に関する質問が相次いだ。
が、この資料に関し、委員長は何も把握していなかった。
規制庁とエネ庁が事前協議を重ねていることも把握していなかった。
内部資料に関しては、調査し、規制庁が関与しているものなら、公表する、と発言した。
(そして、その6日後、12/27に記者ブリーフィングにて説明があった。)
○記者
https://www.nra.go.jp/data/000414850.pdf
今日、ある団体が規制庁さんと、経産省さんが、8月に事前調整をしていたという内部文書を入手したと発表されています。
内容については具体的にもう今日出されているような内容がそこでエネ庁さんと調整をされていて、どうやって束ねるかというような中身が示されているというような内容です。
これって、山中委員長が常々言っていた公開の場でとか、要は委員会の意思決定の前にこういう調整をすること自体、もう既に規制と推進が一体となっていると、個人的には捉えるのですがいかがでしょうか。
○山中委員長
規制庁の職員がどういう活動をしていたかというのは私は承知しておりませんけれども、
少なくとも委員会の場で様々な議論を開始したのは9月18日、私が委員長になった時点で資源エネルギー庁を呼んでいいかどうかという議論をさせていただいて10月5日に来ていただいて、方針を確認したという、そこから議論をスタートしていますので、少なくともその職員がどういう準備をしていたのかということについては私自身は承知していません。
○記者
https://www.nra.go.jp/data/000414850.pdf
先ほどの共同通信の方の質問とちょっと重なるのですが、今日、原子力資料情報室の方が緊急の記者会見をしまして、8月の段階から既に原子力規制庁と経済産業省との間で運転期間延長に関してのルールの在り方についてすり合わせをしていたのではないかということで、内部文書も示して問題提起をされたのですが、
それによりますと、8月の、4名程度のコアのメンバーで規制庁の中で当面、立案作業に着手するとか、かなり詳しく書いてあると。
4月1日付で、法令実務経験のある職員3名を原子力規制部の規制企画課、金城さんのところだと思うのですが、この併任の辞令が出ているというような説明があったのですが、こういったその人事の件というのは委員長は御存じなんでしょうか。
○山中委員長
少なくとも今伺った事実については、私自身認識しておりません。
○記者
https://www.nra.go.jp/data/000414850.pdf
先ほどから質疑に出ている8月時点の規制庁内部資料というものなんですけれども、
束ね法という言葉であったりとか、当面4人程度のコアメンバーで立法作業に着手するとか、あと具体的な経産省としての検討案というのが書かれている資料ですけれども、この資料というのは、今日、原子力資料情報室のほうで会見があって示されたものですけれども、これについては実際に存在する資料ということという認識でしょうか。
○山中委員長
まだ私、その資料をちょっと見てませんので、実際にどこにどうあったのかというのは確認してみたいと思います。
○記者
今後確認されるということですね。
○山中委員長
その資料を確認します。
○記者
確認した結果というのは、我々に示していただけますでしょうか。
○山中委員長
当然、その資料がどこにあってどういうものであるか、あるいは規制委員会規制庁が関与したものであるならば、当然お出しすることが我々の義務だと思っています。
2022/12/27 規制庁記者ブリーフィング
12/27の記者ブリで、規制庁は、内部リークされた資料は、規制庁作成であることを認めた。
そして、事前協議は計7回おこなったことも認めた。
しかし、それは対面の事前協議で、電話やメールなどは数えきれないくらいとのことだった。
そして、あまりにも酷い説明を規制庁は繰り返した。
どのような説明か。
重要なブリーフィングなので、次の記事にまとめる。
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