目次
①内部リークの資料は本物だった!!
②内部リーク資料は「職員が想像力たくましく書きすぎた」
③「規制庁職員の見解を公開すると国民が混乱するので不開示」
④国会の法案提出に無理やり合わせる規制庁に独立性とは
⑤事前協議は「自民党の参院選公約」をエネ庁が規制庁に説明していた!
3行まとめ
・2023/2/27の規制庁記者ブリーフィングで、エネ庁・規制庁の面談資料の説明があったが、
「エネ庁が作った資料は、エネ庁から開示されるべき。エネ庁の資料は口頭説明のみ」とした。
・規制庁作成資料の、法案改正案に「メリット・デメリット」欄があったが全て黒塗り。
「国会の議論が大詰めの時期にこれを公開すると国民が混乱に陥るため不開示」と説明。
・運転上限の撤廃案という最大の改正が「最小の改正」となっているのはなぜかと問われると「一回に限り(運転延長)」という5文字削るだけなので「削る文字数が最小の改正」という、とんち説明。
2023/2/3 原子力規制庁記者ブリーフィング
①エネ庁から提供された面談資料は公開しない。
「エネ庁との面談は、提供された資料は公表しないが、どのようなやり取りが行われたかは全て説明する」という規制庁に、記者からは抗議が相次ぐ。
「あきれてものが言えない」
「今回の説明は、原子力規制委員会、規制庁の独立性がちゃんと保たれているかということを証明しなければいけない。それなのにそもそもエネ庁がどういう資料で説明したかとか、全てエネ庁側のことだから、あちらに移管しますと。あなたたちはそこを説明しないと信頼を失いかねない機会だと思う」
②メリット・デメリットの黒塗りは
規制庁側が作成した資料は開示されたのだが、
法の改正案の1から3の表の、メリット・デメリット欄が黒塗りである。
規制庁はこう説明した。
「メリット、デメリットの部分は不開示にしていまして、公にすることで不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがあるという理由により不開示にしています。」
この部分にも質問が相次ぐが、同じ説明を繰り返す。
「メリット、デメリットが黒くなっています。なぜ黒くなっているかということなのですけれども、ここに書かれた内容は、一担当者の見解で、規制庁という組織としての見解とはかけ離れていて、法案の検討が行われている時期に組織の見解とかけ離れたものがメリット、デメリットという形で公にされることは、法案の内容に誤解を受けることにつながると考えたものであります。」
何を言っているのだろうか。
古い原発の運転上限の撤廃という、原発事故発災後の最大の政策転換がなされようとしているときに、
原子力規制側がどういう見解だったのか、どういう見解の人間が推進側と協議していたのか、
それが明らかになることは、国民の議論に、国会の判断に重要な影響を与える。
影響を与えるからこそ、黒塗りという判断をしたように筆者は考える。
これがどれだけ酷いことか、抜粋動画を作成したので、読者の方々も確認してほしい。
③運転の上限撤廃は「最小の改正」?→「五文字削るだけなので、削る文字数が最小」
そして、もう一つ筆者が驚いたのが、下記の資料だ。
「案1は最小限の改正です。『一回に限り』を削りますということで、『一回に限り』が削られれば、20年ずつ延長できるという規定になるという案であります」
これにも質問が相次ぐ。
「『一回に限り』を削るというのはどういうことですか」
「『一回に限り』延長できるので、それが20年と書いていますので、『一回に限り』が取れると、40、60が40、60、80、100と20年ずつ何度でも延長できる規定になるということです」
「上限撤廃案である案1は、最小限の改正となっていますが、上限を撤廃する改正案が最小限の改正なのですか。」
回答は、一休さんもビックリのとんちであった。
「担当者の考えでは、要は5文字削るだけなので、5文字削る量が少ないですということで書いたと思われます。」
ブリーフィングは紛糾
エネ庁と事前協議していないとは言いながら、受け取った面談資料は出さないとし、
「国会の議論が大詰めの時期に国民を混乱させるから」とメリット・デメリット、つまり規制庁事務方の考え方は黒塗り。
運転の上限撤廃は「一回に限り」という五文字削るだけという「最小の改正」とする。
こんな酷い状態の10日後の2月13日、原子力規制委員会は、運転上限の撤廃の法改正案を承認する。
規制庁・エネ庁の談合の疑いが全く晴れないままだが、何事もなかったかのように、法改正案の承認をしたのだ。
なぜそんなに急いだのか。
それは、国会の法案提出のスケジュールに合わせるためだった、と山中委員長は13日の会見で白状した。
次の記事にまとめる。
エネ庁が作成した面談資料の開示請求の結果
また、伏せられていたエネ庁の作成資料は、規制庁だけではなく、エネ庁にも私は開示請求をかけていたため、
規制庁が開示しなくても、エネ庁から開示されるだろう、と待っていた。
しかし、返ってきた通知は驚くべきものだった。
令和6年。
なんと、来年に開示決定をするという通知であった!!
しかし、4月にいくつか開示決定されたものがある。
その中の資料に驚くべきものがあったので、次の次の記事にまとめる。
参考:2023/2/3 記者ブリーフィング動画、速記録、資料
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