3行まとめ
・専門家会議は速記業者を第2回のみ入れていたそうである(事実であろうか?)
・2月25日に情報開示請求をしていた筆者に、第2回の速記業者の納品物が開示された。
・司会進行と資料説明以外は、真っ黒で、委員の発言は全く消されていた。
関西弁まとめ
・2月25日時点で、専門家会議は第3回まで開催されててんけど、議事概要も何も公開されず。
なんで?議事録、議事詳細を開示して?
内閣官房「議事概要をアップしたでー、それでいい?」
いや、それ発言者わからんやん、議事概要を作る前の資料ちょうだいよ?
内閣官房「何もないねん、議事概要しかないねん」
そんなわけないやろ、何かしらあるやろ、記憶力だけで議事概要作ったんかい!
内閣官房「いや、ほんま何もないねん…」
走り書きのメモでいいから公開せえ!!急に議事概要できるわけないやろ!
内閣官房「なんか調べる…第二回だけ速記業者の納品物あるわ」
それ公開せえ!
…結果…
真っ黒!!司会進行と資料説明、挨拶以外真っ黒!!
まぁとりあえず速記業者の納品物あるんやったら、全ての回の速記業者の納品物請求したろ。
…結果…
内閣官房「4ヶ月後に開示か不開示か決めるわ」
どれだけ待たすねん! なんでそんなに時間かかんねん! こんなん初めてやわ!怒
(前記事)専門家会議、議事録無し、発言者公開せず
専門家会議の議事録について、筆者は2月25日に情報開示請求をおこなっている。2月24日の第三回開催までの段階で、議事概要も一切公開されていなかった時期に開示請求した。
すると、内閣官房から、「HPに議事概要を公開したので、それを開示資料としてよいか」と連絡がきた。議事概要は、議事録ではない。発言者の記録や議論の推移もいっさい読み取れない。なので、議事概要を作る前のもの、発言者が分かるものを要求した。
詳細は下記の記事である
第二回のみ存在した速記業者の納品物。開示に時間がかかり、真っ黒。
第二回の速記業者からの納品物は開示とあったので、請求した。
(請求したのが5月6日で、送られてきたのが5月28日である。通常、開示決定された段階で、開示資料は準備されている。なぜこんなに時間がかかったのか。筆者は、情報開示請求を数多くおこなっているが、開示決定後の資料の送付が時間がかかったのは初めてである。)
以下が、開示された第二回専門家会議の「速記業者の納品物」である。
挨拶のみ読める1P
審議官、加藤厚労大臣の挨拶は読める。
脇田座長にうつり、専門家会議が始まってから、黒塗りが始まる2P
資料の説明が終わり、専門家会議の脇田座長に司会がうつってから、黒塗りが始まる。
脇田座長に司会が移った3Pから黒塗り。一文字も開示は無し。
挨拶や資料説明ではない部分、専門家会議の議論が始まる3Pからは真っ黒である。
司会進行と資料説明のみ読める7P8P
黒塗りが外れた、と思ったら、脇田座長の司会と、健康局長の資料の説明である。
そしてまた黒塗りの9から12P
13-30P、丁寧に黒塗り。
32P 脇田座長「ではよろしくお願いします」のみ開示
33P 開示されるも、厚労省県境局長の資料説明と、脇田座長の司会進行のみ。
31,32Pで黒塗りが一瞬外れるも、議論と全く関係ない部分であった。
37P 脇田座長が司会進行を事務局に返すまで黒塗り
脇田座長「ありがとうございました。
(黒塗り4行)
事務局にお返ししたいと思います。」
徹底的に、議論の中身を開示せず、司会進行、資料説明、大臣挨拶しか明かされなかった。
38P、内閣審議官の言葉も時々黒塗り
冒頭、1Pにもあったが、内閣審議官の言葉もちょいちょい黒塗りされているのは気になるところだ。
以上が、情報開示請求で開示された、第二回専門家会議の速記業者の納品物である。
第二回以外の速記業者納品物はあるのか!?
ちなみに、筆者は、第二回の速記業者納品物が開示されると確認した後すぐに、その他の回の速記業者からの納品物を開示請求をかけた。
【請求する文書】
「新型コロナウィルス感染症対策専門家会議」第1回から第14回までの速記業者からの納品物。(第2回はすでに入手済みのためのぞく)
開示決定は4か月後!!!
すると、驚くべきことに、開示決定は9月30日という4か月後を指定してきたのだ。
情報開示請求後の開示不開示の決定通知は原則として1ヶ月以内、特例として、延長1ヶ月となっている。筆者は今まで情報開示請求を重ねているが、決定通知を4ヶ月後とされたのは初めてである。
黒塗りだけでなく、決定すら先延ばしとはどういうことであろうか。
なぜ議事録が必要か
専門家会議の議事概要はある。それでよいではないか、という意見も聞く。
しかしそれは違う。
議論の経過が明らかになり、後に検証できることが重要なのだ。箇条書きの議事概要では議論は全く見えてこない。
誰のどういう意見があり、どういう議論があり、どういう議論を経て、合意形成されたのか。
誰の意見が無くなり、誰の意見が採用され、どの意見に誰が賛成し、反対したのか。それが議事録だ。
前回の記事に書いてあるが、専門家会議の委員に筆者が質問した際、委員としては議事録の公開に反対はしていない、というコメントを得た。しかし、専門家会議の前段階の「勉強会」にて、怒鳴り合いの議論をし、専門家会議ではすでにコンセンサスができているので、公開に問題は無い、というのだ。そうではないのだ。
政策に寄与する議論がどのようなものだったか、検証が必要なのだ。「非公開でないと率直な議論ができない」のなら、政策に寄与すべきでない。
犯人捜しではなく、選択は最善だったのか、他には無かったか、
今後、同じ様な状況で、同じ間違いを繰り返さないために、もしくは最善の選択をより早く再現するために、検証が必要なのだ。
情報は私たちのもの
原発事故後、取材を始め、2014年から毎年ドイツに行っている。原発に対する市民の考え方、動き方は大きく違うが、その根本となっているのは、戦争の情報を残したかどうかだと感じている。
ドイツ連邦放射線防護庁の広報を取材しても、「原子力と民主主義は同じ」と説明をされるのだ。選挙でナチスのヒトラーを生みだしたドイツの話をし、「愚かな市民は愚かな代表を選ぶ」と。では愚かな市民ではないとはどういうことか。「誰か偉い人、賢い人、権力者、専門家、政治家、そういう人らの意見を鵜呑みにするのではなく、市民一人ひとりが、調べ考え、意見を持ち、議論に参加し、社会を作っていく」原子力も、民主主義も同じで、誰かの意見を鵜呑みにしてはダメだ、とドイツ連邦放射線防護庁の広報に説かれるのだ。
このように、原子力の取材をしていても、第二次世界大戦の話を各地できいた。同時期に敗戦したドイツと日本だが、戦後の最大の違いは、戦争の情報を残したかどうかではないかと筆者は感じている。敗戦時に、三日三晩、戦争の資料を燃やし続けた日本と、どこの住所からどこの収容所に連行し殺戮したか、詳細な資料を残したドイツと。
情報は、その後の検証を、反省を、思考、議論を促す。それは民主主義の成熟に最も必要なものだ。
振り返って現代を見ると。情報の非公開。黒塗り。改ざん。
調べない、検査しない、議事録を作らない、そもそも情報を作らないという隠ぺいもある。
私たちが税金を納め、それで行政が成り立ち、情報を作っているのだ。
そもそも情報は私たちのものだ。
その上、新たな様々な形で、国家は国民のデータを吸い上げようとしている。
国家が情報を独占し、搾取することは、民主主義の死だ。
そして、情報は黙っていても開示されるもの、与えられるものではない。
隠ぺいに目を光らせ、私たちの情報を開示せよ、と知る努力を続けねばならない。多くの監視の目、関心こそが、自分とその周り、遠くの誰かを守ることでもある、と筆者は考える。
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