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4行まとめ

・2月25日に筆者は「専門家会議」の議事録の情報開示請求をおこなった。
・3月4日に内閣官房から「議事概要でよいか」の確認の電話があり、概要ではなく発言者がわかる議事録を請求した。
・4月28日に「率直な意見の交換ができないため…」などの理由で、不開示の通知がきた。
・5月14日の専門家会議会見にて、「議事録非公開は委員の意思か」と質問した。

関西弁まとめ

(長いので読みやすい要約をつけました)

・2月に専門家会議の議事録を開示請求したら、
・3月に内閣府は「発言者を公開したくないねん…」と回答。
・4月に「率直に話し合われへんから、やっぱ発言者は非公開でごめんな!」と不開示の通知。
・5月の専門家会議会見で「発言者出したくないんは先生らの意思なん? ちゃうんやったら、出してくれてもええやん?」と質問。
委員「出してもええねんで、けど、それは厚労省に聞いて? 不開示やったんとかはこっちは知らんし。」
厚労省「発言者出すことに意味ないやろ。こうやって説明してんねんからええやん。」
委員「ちゃんと議論してコンセンサスできてるから。勉強会とかで怒鳴り合う議論とかやってんねんで(一同ゲラゲラ)」
→その議論を開示してくれよ!!!

(というのが主旨です。
記事本文は長文で、資料もたくさんつけたため、概要を読みやすく関西弁でつけてみました。)

議論が全くわからない専門家会議に開示請求

 筆者は1月からWHOにメディア登録し、COVID-19(まだそう名付けられてない頃から)の取材を重ねている。
 中国の国家衛生健康委員会やアメリカのCDC(疾病予防管理センター)などの情報を収集しながら、日本の感染症対策はどういう動きになるか調べていたが、1月段階では動きはなく、政府に「新型コロナウィルス感染症対策本部」が立ち上がったのは1月30日であった。
 そして、「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」が始まったのは2月16日からである。

 2月はクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号の問題があった。
 19日に、神戸大学の岩田健太郎教授が「船内は専門家がおらず悲惨な状態」と報告する動画をYouTubeに投稿する。(この件に関しても興味深い資料が手に入り、情報開示請求をしているので、今後、公開する)
 
 16日から始まっているはずの「専門家会議」では、資料は公開されるものの、一向に議事録が公開されない。24日の第三回が開催された時点で、まったく議事録が公開されないため、2月25日に筆者は情報開示請求をした。

行政文書開示請求書 (赤線は筆者)

【開示請求内容】
「新型コロナウィルス感染症対策専門家会議」2/16、2/19/、2/24開催分、それ以降開催分の議事要旨、議事メモ等、議事内容が分かるもの全て。(HP掲載の資料・参考資料はのぞく)

発言者が分からない形での公開のみ

 すると3月4日に内閣府から電話がかかってきた。

「開示請求の内容を確認した。1回目の議事概要を公開したので、そのURLを送るか、紙資料にコピーして送るという対応でよいか。」

 筆者は、事前にHPで議事概要を確認していた。
 しかし、それは下記のような箇条書きの羅列で、発言者や議論が分からない形となっている。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/senmonkakaigi/gaiyou_r020216.pdf
専門家会議、第一回議事概要より

 このようなものではなく、発言者が分かる形での議事要旨、議事メモ、議事録を請求している、と伝えると内閣府は
「この議事概要しか出せない」と言う。
 この議事概要を作成する前の資料を、と再度要求すると
「議事概要前の資料は存在しない。発言者に確認してから、公開できるものを作成している」とのこと。

 筆者は、「行政文書の管理に関するガイドライン」を説明し、どの省庁でも、議事録ではない議事概要でも、意思決定に至る過程を可視化するため、発言者がわかる形での文書となっていることを伝え、発言者がわかる文書の要求した。

(内閣府の職員に、内閣府が出しているガイドラインを伝えるというのは、おかしな話ではあるが!!)

行政文書の管理に関するガイドライン

審議会等や懇談会等については…当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、開催日時、開催場所、 出席者、議題、発言者及び発言内容を記載した議事の記録を作成するものとする。

https://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/hourei/kanri-gl.pdf
「行政文書の管理に関するガイドライン 」
https://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/hourei/kanri-gl.pdf
(赤線は筆者)

不開示。

 通常、開示請求は1ヶ月で通知がくるが、内閣府から延長され、2ヶ月後の4月28日に通知書が届いた。
「率直な意見の交換もしくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ等があるものが記録されている部分について」不開示である。

 発言者が明らかになれば、率直な意見が公開できないというのか。
 公開されていれば意思決定できないというのか。
 密室の非公開でなければ、議論できない「専門家会議」というのか。 

 議論を可視化し、将来に検証できる形で保存するという、民主主義の観点から全くはずれている。
 新型コロナウィルスという問題に関しても、
・調査をし情報を作ること
・情報を公開すること
・情報を元にした議論を可視化すること

という民主主義のプロセスを踏むことは、どんな状況であっても重要だ。
 筆者は原発事故や公害問題の取材を続けているが、新型コロナウィルスの問題に限らず、いつも重要な情報が可視化されず保存されていないと感じている。

行政文書開示決定通知書(赤線は筆者)

(ちなみに、開示部分の速記業者からの納品物は、現在、請求中である)

専門家会議の会見で委員に直接、質問する

 5月14日の専門家会議の会見で、Skype参加をしていた筆者は、委員に直接質問をした。
発言者を明らかにしないのは委員の意思か? 
そうでなければ、発言者を明らかにしないのは望ましいか?

(THE PAGEの動画、筆者の質問部分は1時間57分頃から)

質疑書き起こし

おしどり質問

専門家会議の議事録は公開されておらず、発言者が誰か分からない形の議事概要でしか公開されてません。2月末に議事メモ議事録を情報公開請求したところ、率直な意見交換・意思決定が損なわれるとの理由で不開示でした。
専門家会議の委員側からこの様な旨を主張をした事実があるか教えて下さい。

また、専門家会議の議事録は発言者が分らない形での方が望ましいかどうかご見解を教えて下さい。
(犯人捜しのような発言者開示ではなく議論の中身を可視化する事が信頼性へと繋がる趣旨での質問です。)

岡部信彦(川崎市健康安全研究所所長 )

 それは、厚労省の方のルールなので厚労省の方に聞いていただきたいんですけれども、専門家会議という事ではなくて、私たちも誰がどういう発言をしたかっていうの責任を持った方がいいので、できればそういう風な方がありがたい。

 それで、少し改善されつつあるんじゃないかと思うんですが、開示請求について断るかどうかというのは全く知らないので、それについて我々何ら申し入れという様なことはやってないです。

厚生労働省

厚生労働省でございます。

専門家会議、それから諮問委員会にいたしましても基本的に政府の方針としては、議事概要の方で公表さしていただいて、その上でまさに一人ひとり、どういったご発言をされたかを特定する事にそれ程意味があるとは思っておりませんで、まさに専門家会議におきましては、議論の中身ですとか、それから国民の皆さまにお伝えすべき事ってのはこうして先生方に中身を詳細に、こういった資料も用意してですね、説明を頂いているという様な状況ですので。

 基本的にあの、内閣官房が事務局をやっておるんですけども、こういった形で中身をご説明させていただく事が適当だという風に我々としては考えてこの様な扱いにさせていただいているところでございます。

岡部信彦(川崎市健康安全研究所所長 )

 ただ、専門家会議で議論してるところっていうのはかなりコンセンサスは我々の中でずいぶんできているところで議論が出来てます。

 ていうのはその前に、既に勉強会なんかでも喧々諤々でですね、場合によっちゃ怒鳴り合うぐらいの議論をやってるので、(会場、笑い)それがだんだんまとまって来て、会議の中でもっと多くの人と議論を経るという様な形になってます。

「喧々諤々の怒鳴り合うぐらいの議論」

 できれば上記の動画をチェックしてほしい。
 岡部委員が「 既に勉強会なんかでも喧々諤々でですね、場合によっちゃ怒鳴り合うぐらいの議論をやってるので」と発言した後、

専門家会議の委員らが笑い声をあげるのだ。

 笑いごとではない。その、「喧々諤々の怒鳴り合う議論」 を開示せよ、と言っているのだ。
 行政文書ガイドラインにもあるように「経緯も含めた意思決定に至る過程」「発言者および発言内容」 を記録した資料を作成し、それを公開すべきだと言っているのだ。
 
 議論の後の、合意・結果だけ伝えるから、それで済ませると。
文書を作らず、会見の口頭説明で済ませ、それが国民への説明だと。
それでは、私たち検証も何もできない。
私たちだけでなく、後世へ検証材料も残せない。

議事概要公開も2月分まででストップ

 5月17日時点で、発言者が分からない形の議事概要も、2月分までで、3月分からのものは公開されていない。

(専門家会議の資料に議事概要が付いているのは2月29日まで)
 

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/taisaku_honbu.html
(専門家会議の資料は厚労省ではなく、官邸のサイトにある)

 緊急事態のため、このような事務作業が滞るのは理解できる。
 しかし、最重要な案件だからこそ、経緯が分かる資料を残しておくことも必要である。

 原子力規制庁などは、様々な検討会後、議事録を作成し、機械的に公表している。経産省などは、いったん発言者の確認を入れてから、その次の回に前回分の議事録を公開している。 

 原子力規制庁のように、発言者の確認をいれず、議事録を機械的に作成し、公開する形ならば、委員の先生方がどれだけ忙しくとも、公開できる。

 また、岡部委員の言う「喧々諤々の議論」こそ、開示すべき内容だと筆者は考える。
 「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議 」は、内閣府の元にあり、政策決定に寄与するから、議論の開示が必要なのである。

訂正履歴

2020/5/17 15:09 タイトル部分「議論公開せず」→「発言者公開せず」に訂正。
2020/5/18 2:56 「3行まとめ」を「4行まとめ」にし、3月4日分を追加。
「関西弁まとめ」を、2月分と3月分が一緒になっていたものを分離。


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