3行まとめ

・2014年8月の東電発表では、海洋へ流出する放射性物質(3核種)の総量は、一日に220億ベクレル。

・2013年の、海洋へ流出する放射性物質(3核種)の総量は、一日に605億ベクレル。
(→この年の9月に東京オリンピックが決まった)

・2015年になってから、海水・地下水の様々な測定地点で、放射性物質の過去最大値を検出していることから、
海洋へ流出する放射性物質の総量は上昇しているものと考えられる。

 

毎日、海洋へ流出され続ける放射性物質

2014年8月11日、「海洋汚染をより確実に防止するための取組」という資料を東京電力が発表した。

そこに、様々な汚染水対策について書かれており、

「海側遮水壁を閉合したら、海洋へ流出する放射性物質は低減する」ということを説明するために、

どれだけの放射性物質が流れ出ているか、グラフで示された。

写真 (19)

http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu14_j/images/140811j0105.pdf より

 

グラフの数字は正確に読み取りにくいが、2013年分は筆者が読み取った数字を、

2014年分は、会見時に東京電力白井氏が読み上げた数字を下記にまとめる。

2013年 2014年
Sr90 140億Bq/日 50億Bq/日
Cs137 225億Bq/日 20億Bq/日
H3 240億Bq/日 150億Bq/日
合計 605億Bq/日 220億Bq/日

 ちなみに、2015年現在、この海側遮水壁は10mほど閉合できず開けたままである。

なので、まだ日々、海洋に放射性物質は流出し続けている。

なぜ閉合できないか、それは山側の地下水対策(凍土壁、海水配管トレンチ止水など)がうまくいっていないからである。

地下水対策がとられないまま海側遮水壁を閉合すると、行き場の無い地下水が溢れるため、

10mほど開けておき地下水(汚染水)の逃げ道を作っているのである。

 

この件については、現在発売中のDAYS JAPAN3月号に、広河隆一氏の空撮写真を用いて詳細に書いてあるので参照して頂きたい。

「コントロール不能な汚染水漏れ(おしどりマコ・ケン)」 http://www.daysjapan.net/

 

海洋へ流出する放射性物質は上昇!?

この「放射性物質の海洋への放出量」のグラフの数字の根拠は

『「昨年および今年」の放射性物質の海洋への流出量は、港湾内外の放射性物質濃度より算定とある。

しかし、前述したとおり、港湾内外の海水、敷地内の地下水の放射性物質濃度は、

2013年に測定し始めてから、2015年1月2月でさえ、最高値を更新している状況である。

この資料が作成された2014年8月以降に、最高値を更新した測定地点を抜き出してみる。

写真 2 (10)

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/smp/2015/images/2tb-east_15022001-j.pdf より

写真 1 (9)

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/smp/2015/images/2tb-east_15022001-j.pdf より

 

港湾内外だけでなく、海に最も近い、護岸エリアの地下水も、各地の測定点で最高値を更新し続けている。

 

写真 4 (4)

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/smp/2015/images/2tb-east_15022301-j.pdf より

写真 3 (5)

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/smp/2015/images/2tb-east_15022301-j.pdf より

港湾内外、護岸エリアだけではなく、地下水バイパスの揚水井、タンクエリア周辺の観測孔、建屋周辺のサブドレンなども、

昨年秋以降、最高値を更新し続けている。

「放射性物質の海洋への放出量」のグラフの根拠となっている「港湾内外の放射性物質濃度」が最高値を更新している以上、

海洋へ流出している汚染水も増加している、と考えるのは妥当ではないだろうか。

 

毎日港湾内へ流れ出る汚染水は、日々、港湾外へ

そして、港湾に流れ出ている汚染水は、前回の記事に書いたように、日々、港湾外の海水と入れ替わっている。

国会事故調の図面より おしどりマコ・ケンが作成

出典:福島第一原子力発電所原子炉設置変更許可申請書 www.cnic.jp/files/earthquake20110311/fukushimaNPP_haichizu.pdf より おしどりマコ・ケンが作成

上記の図は、筆者が作成したものだが、原子力規制庁も同様に、港湾内の海水は港湾外と入れ替わっていることを示す図を用いている。

 

http://www.nsr.go.jp/data/000051202.pdf より

http://www.nsr.go.jp/data/000051202.pdf より

 

これは、原子力規制庁の第1回汚染水対策ワーキンググループの資料であるが、

その第5回の資料に、港湾内の海水量についての記載があった。

その資料を整理すると下記になる。

5、6号機補機冷却ポンプの容量 7,000(m3/h)
港湾内海水量 2,300,000(m3)

 

7,000(m3/h)×24(h)=168,000(m3) 

1日に16万8千トンの海水を5,6号機ポンプが港湾内から外に汲み上げる。

168,000(m3)÷2,300,000(m3)≒0.073=7.3% 

→それは、港湾内の海水量の7.3%にあたる。

 

つまり、潮の満ち引きで港湾内外の海水は50%入れ替わり

それに加えて、港湾内から外へ7.3%の海水が汲み上げられているのである。

 

2014年8月時点では、ストロンチウム90が50億ベクレル、セシウム137が20億ベクレル、トリチウムが150億ベクレル、

この量が毎日、港湾内に流れ出ており、その約60%は港湾外の海水と入れ替わっている。

そして、2015年現在は、それ以上の放射性物質が港湾内に流れ出ているであろう。

2013年9月「汚染水による影響は港湾内で完全にブロックされている」と安倍総理がIOC総会で発言した際は、

港湾内に毎日ストロンチウム90が140億ベクレル、セシウム137が225億ベクレル、トリチウムが240億ベクレル流れ込み、

港湾内の海水60%は、港湾外と入れ替わっていた。

 

相当量の放射性物質が海洋へと日々流れ出ているが、膨大な海水による希釈で、影響は少ない、という考え方もあるだろう。

先月20日、東京電力が発表した資料から、港湾口で採取された魚の測定値を最後に掲載しておく。

タケノコメバルが、セシウム合計で22万3000ベクレル/kg、これが最高値の魚で、港湾口で採取されたものであった。

 

海水の測定値だけでは、影響が少ないかどうか判断はできないと筆者は考える。

少なくとも、2013年に安倍総理が世界に向けて発言した福島第一原発の汚染水の状況は、訂正すべきである。

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/smp/2015/images/fish01_150120-j.pdf より

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/smp/2015/images/fish01_150120-j.pdf より