3行まとめ

・12月17日15時頃、Jタンクエリアにて、ALPS処理水が漏えい。

・漏えい量は約6tと推定。

・漏えい原因は、配管が「接続されていなかった」

汚染水漏えいの詳細と対応

多核種除去装置(ALPS)処理水をJ6タンクエリアに移送していたところ、

 J5タンクエリアとJ6タンクエリアの配管が一部接続されておらず、17日15時に漏えいしていることを発見。

当該処理水は堰外に溢れだしており、接続配管の弁を閉じて漏えいを停止させる。

漏えい量は移送時間と移送量から約6tと推定。

配管トレンチ内の溜まり水などを17日19時35分までに9t回収。

漏えい水が染み込んだ土砂を17日17時半までに20m×0.5mの範囲で回収。

原子力規制庁の対応として、17日16時25分に法令報告事象(核燃料物質等が管理区内で漏えいしたとき)に該当と判断。

Jタンクエリア水漏れ個所の写真

写真 1 (7)

http://photo.tepco.co.jp/library/141217_01/141217_01.jpg

写真 2 (8)

http://photo.tepco.co.jp/library/141217_01/141217_02.jpg

 

汚染水が漏えいしたJタンクエリアの場所

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/handouts/2014/images/handouts_141217_10-j.pdf

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/handouts/2014/images/handouts_141217_10-j.pdf

 このJタンクエリアがどこになるか、というと、下記のマップを見て頂くとわかりやすい。

敷地内の南のほう、地下貯水槽の南に位置する。

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/roadmap/images/d141127_05-j.pdf

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/roadmap/images/d141127_05-j.pdf

 

漏えいした汚染水の濃度は???

東京電力からの報道あてメールには、至近のALPS処理水の全βの濃度しか記載がなかった。

全βは、A系で89Bq/L、C系で120Bq/Lとなっていた。

ストロンチウム90が、測定された全βに大部分寄与していると考えられるが、

どの程度ストロンチウム90が含まれているかは別の測定になり、まだ実測値は出ていない。

しかし、福島中央テレビの18日の報道では汚染水の濃度は「放射性セシウム0.4Bq/L」となっていた。

18日に日テレ24で中継されていた福島中央テレビのニュース

18日に日テレ24で中継されていた福島中央テレビのニュース

筆者は驚いた。

なぜなら、ALPS処理後の汚染水で一番多く含まれているのは、トリチウムだからである。

福島中央テレビのニュースではこう説明していた。

「漏れたのは汚染水を処理した後の水で1リットルあたり、0.4ベクレルの放射性セシウムが含まれておりましたが、

漏れた場所に排水溝はなく、東京電力は『処理水が海へ流れ出た可能性はない』と言っています」

これは少し恣意的ではないだろうか。なぜ、トリチウムについて言及が無いのか。

漏れた汚染水に、どれだけトリチウムが含まれているか、下記の概要を見て頂ければイメージできるだろうか。

セシウム除去装置、淡水化装置、多核種除去装置を通過しても、汚染水からトリチウムは除去することができないのである。

http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/pdf/140115/140115_01c.pdf

http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/pdf/140115/140115_01c.pdf

 

この漏えいしたALPS処理水にはいったいどれくらいのトリチウムが含まれているのか。

筆者は、すぐに調べ、東京電力にも問い合わせたが、まだ測定値は出ていない、とのことであった。(18日15時半時点でも)

 漏えいした汚染水の詳細な濃度について

報道宛てメールには以下の記載しか無い。

○至近(12月15日)における当該処理水の分析結果は、以下の通りです。

 ・多核種除去設備A系処理水:8.9×10^1 Bq/L(全ベータ)
 ・多核種除去設備C系処理水:1.2×10^2 Bq/L(全ベータ)

 この「至近(12月15日)における当該処理水の分析結果」というものが、発表されていないため、

東京電力広報に電話取材し、角田氏から、下記の回答を得た。

※べき乗表示(10^1など)がわかりにくい、というコメントが来たため、わかりやすい表示も付け加えた※

ALPS(A系) (※同左をわかりやすく) ALPS(C系) (※同左をわかりやすく)
Cs-134(セシウム134) ND ND ND ND
Cs-137(セシウム137) 4.71×10^-1 0.471Bq/L 3.63×10^-1 0.363Bq/L
Co-60(コバルト60) 3.89×10^-1 0.389Bq/L 4.4×10^-1 0.44Bq/L
Mn-54(マンガン54) ND ND ND ND
Sb-125(アンチモン125) 5.67×10^1 56.7Bq/L 6.01×10^-1 0.601Bq/L
Ru-106(ルテニウム106) 2.2×10^1 22Bq/L 2.79×10^1 27.9Bq/L
I-129(ヨウ素129) 6.49×10^1

64.9Bq/L

ND ND
H-3(トリチウム)
全β(公表済) 8.9×10^1 89Bq/L 1.2×10^2 120Bq/L

トリチウムの測定値については、まだ情報が来ていない、ということであった。(18日15時半時点)

 12月15日以前の実測値についてはどこで公表されているか、質問したところ

「この測定値は今までそもそも公表していない」とのことであった。

そのため、至近で出ているALPS処理水の放射能濃度の資料を探したところ、下記である。

2014年11月15日の資料である。

http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/pdf/140115/140115_01c.pdf

http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/pdf/140115/140115_01c.pdf

 これは、2013年のA系のホット試験のときの実測値であるが、2014年12月15日至近の実測値と比較すると、

 様々な核種で、処理後の濃度が上がっていることがわかる。(両方とも測定値が出ているものは下記)

2013年ホット試験 2014年12月15日

Ru-106(ルテニウム106)

6.9Bq/L 22Bq/L

Sb-125(アンチモン125)

0.98Bq/L 56.7Bq/L
Cs-137(セシウム137)

ND(検出限界値0.28)

0.471Bq/L

他の核種は一方しか測定値が出ていないため、比較できなかった。

ALPSの最近の実測値は公表していない、ということであったが、

当初の性能より除去力が落ちてきているのではないだろうか?

そして、トリチウムは元々除去できないため、2013年のホット試験での測定値でいえば、

630000Bq/L、つまり1リットル中に63万ベクレル含まれている。

このような汚染水が、6トン(約6000リットル)漏えいしたのである。

 

筆者の疑問

・「配管が接続していない」という漏えいは、ヒューマンエラーではないだろうか。

Jタンクエリアは、落下事故などが相次ぎ、ヒューマンエラーが相次いでいる場所でもある。

・ALPSの除去能力は落ちてきているのではないだろうか。

なぜ、至近の実測値を公表しないのか。

昨年のホット試験の測定値より、今回出てきた実測値は明らかに性能が落ちている。

・福島中央テレビの報道は、少し恣意的ではないだろうか。

漏えい水の汚染度の表現として、「放射性セシウム0.4Bq/L」しか報道しないのは、いかがか。

最も含まれているトリチウムに言及しないのはなぜか。

事故を起こした原発がある地方のTV局として、詳細で丁寧な報道を願いたい。

 

【東京電力からのご連絡】福島第一原子力発電所Jタンクエリアからの水漏れについて

2014年12月17日 20:58:07 続報2

2014年12月17日 18:31:09 続報

2014年12月17日 16:57:11

────────────────────────────────────
             東京電力からのご連絡
────────────────────────────────────

報道関係各位

 本メールは、事前に「深夜・早朝における連絡先」の登録のお申し込みをいた
だいた方にお知らせしています。

○多核種除去設備処理水をJ6タンクエリアに移送時に発生した漏えいに関する
 続報です。

○配管トレンチ内の溜まり水(雨水も含む)については、本日(12月17日)午後
 7時35分に回収を完了しました。回収量は約9m3です。

○漏えい水が染みこんだ土砂については、本日(12月17日)午後5時30分までに
 約20m×0.5mの範囲で回収しております。

○本メールには返信できませんのでご了承ください。

<参考>
 福島第一原子力発電所Jタンクエリアからの水漏れについて(現場写真)
 http://photo.tepco.co.jp/date/2014/201412-j/141217-01j.html

 Jタンクエリアからの水漏れ箇所概略図
 http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/handouts/2014/images/handouts_141217_10-j.pdf

<以下、お知らせ済み>
-----------------------------------------------------------------------
○現場確認の結果、漏えいした水は近くの土壌に染みこんでいること、また配管
 トレンチに溜まっており、その先も土嚢により流出が止まっていることを確認
 したことから、海への流出はないと判断しました。

○漏えい量は、移送量と移送時間から約6トンと推定しております。

○至近(12月15日)における当該処理水の分析結果は、以下の通りです。
 ・多核種除去設備A系処理水:8.9×10^1 Bq/L(全ベータ)
 ・多核種除去設備C系処理水:1.2×10^2 Bq/L(全ベータ)

○今後、漏えいした土壌の回収および配管トレンチに溜まった水の回収を行いま
 す。

○また、本件については、本日(12月17日)午後4時25分に核原料物質、核燃料
 物質及び原子炉の規制に関する法令第62条の3に基づき制定された、東京電力
 株式会社福島第一原子力発電所原子炉施設の保安及び特定核燃料物質の防護に
 関する規則第18条第12号「発電用原子炉施設の故障その他の不測の事態が生じ
 たことにより、核燃料物質等(気体状のものを除く)が管理区域内で漏えいし
 たとき。」に該当すると判断いたしました。

<以下、お知らせ済み>
-----------------------------------------------------------------------
○本日(12月17日)、多核種除去設備処理水をJ6タンクエリアに移送しており
ましたが、J5タンクエリアとJ6タンクエリアの配管が一部接続されておら
ず、同日午後3時00分頃、当該処理水が漏えいしました。

○当該処理水は堰外に漏えいしましたが、当該接続配管の弁を閉じて、漏えいは
 停止しました。

○また、漏えい箇所近傍には排水溝はないため、海への漏えいはないことを確認
しました。

○現在、漏えい状況等を調査しております。

○なお、モニタリングポスト指示値の有意な変動は確認されておりません。

○本メールには返信できませんのでご了承ください。

  以 上

【お知らせ】多核種除去設備処理水の移送配管からの堰外漏えい(福島第一)

2014年12月17日 17:48:50 原子力規制庁広報窓口からのメール
報道関係者 各位

本日(17日)、東京電力から、多核種除去設備処理水をタンクに移送していたところ、
接続配管の一部が接続されていなかったため、当該処理水が堰外に漏えいした旨の連絡がありました。

当該接続配管の隔離処置(弁の閉操作)により、現在漏えいは停止しています。
また、漏えい量は、移送量と移送時間から約6トンであると推定しています。

漏えい水は近くの土壌に染みこんでおり、また近傍のU字溝に溜まって一部はあふれていますが、
土嚢によりせき止められていることから、東京電力は、海洋への流出はないものと判断しています。

当該処理水の至近(12月15日)の分析結果は以下のとおりです。
・多核種除去設備A系処理水:8.9×10の1乗 Bq/L(全ベータ)
・多核種除去設備C系処理水:1.2×10の2乗 Bq/L(全ベータ)

また、モニタリングポスト指示値の有意な変動は確認されておりません。

本件について、東京電力は、堰外に漏えいしたことから本日16時25分に法令報告事象※
(核燃料物質等が管理区域内で漏えいしたとき)に該当すると判断しました。

※核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第62条の3に基づき制定された
東京電力株式会社福島第一原子力施設の保安及び特定核燃料物質の防護に関する規則第18条各号の事象。

本件について、現地保安検査官が現場確認及び情報収集を行っています。
また、当面の対応として、東京電力に対し以下の指示を出しています。
・漏えい水による汚染の範囲を特定すること。
・漏えい水の量と濃度を測定すること。
・漏えい水及び汚染の土壌の回収を行うこと。

引き続き、追加情報が入り次第、ご連絡いたします。

(担当)
原子力規制庁
長官官房総務課 広報室
事故対処室