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ダストモニタ警報発生しても、ろ紙のダストを調べず機器異常と判断

Byoshidori-makoken

11月 6, 2014
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3行まとめ

・11月2日、連続ダストモニタの高高警報が鳴った。
・現場作業と手分析の結果、機器故障とみなし、予備品と交換した。
本当に故障だったのか、連続ダストモニタのロールろ紙に放射性物質の付着は無かったのか、確認のしないまま、機器をまるごと取り換えた。

3号機南側の連続ダストモニタ高高警報が発生

11月2日午前11時36分に、3号機南側連続ダストモニタ高高警報(警報設定値:1.0×10-4Bq/cm3)が発生した。
2日は日曜のため、作業はほとんど実施されていない。
1号機建屋カバー解体作業、周辺での作業は実施されていないこと、その後の手分析の結果、警報発生は機器の異常と判断し、連続ダストモニタは予備品と交換したということであった。
※11月2日午前11時36分、3号機南側連続ダストモニタにおいて、「ダストモニタ高高(警報設定値:1.0×10-4Bq/cm3)」の警報が発生。 警報発生時、1号機建屋カバー解体作業および周辺での作業は実施していない。
(→作業と関係ないダストの舞い上がりの可能性は?)
また、当該ダストモニタは、1号機原子炉建屋の風上(集中廃棄物処理施設南側)に設置されている。
(→1号機ばかりを原因ととらえていいのか?)
なお、他のダストモニタおよびモニタリングポストの異常は確認されていない。
(→昨年の事象も、ピンポイントのモニタリングポストしか反応しなかった。)
その後、現場で手分析を行った結果、検出限界値未満(1.1×10-5Bq/cm3)
(→手分析をした際には、すでにダストが通過したあとなのでは?
時間がたったので一時的なスパイクをとらえられなかったのでは?)
であることから、機器の異常と判断したため、当該ダストモニタについて予備品と交換を実施。
同日午後3時15分、交換した予備品が、正常に動作していることを確認。
このように、「機器の異常」と判断した根拠が全て弱いように思える。

連続ダストモニタについて

連続ダストモニタとは、連続的に空気を吸引し、排気中に含まれる放射性物質のダストをろ紙に集じん・吸着させ放射性物質を直接測定する装置である。
参考として、昨年8月12日に免震重要棟前の連続ダストモニタ警報発生時の資料を付ける。
(このときの警報発生は、3号機のガレキ撤去の際のダストが舞い上がったもの、とされているが、あくまでも「推定」のため、確定の調査結果ではない)
連続ダストモニタのロールろ紙は通常、6時間毎に交換する。
福島県でモニタリングしている連続ダストモニタの対応は以下のようになっている。
・連続集じんを行い、6時間毎に自動ろ紙交換(4試料/日)
・通常、集じん後のろ紙は1ヵ月毎に回収し、ゲルマニウム検出装置で放射性セシウム等を分析
ここで留意してほしいのは、連続ダストモニタの「ロールろ紙」である。
警報が鳴った際の時刻のロールろ紙をカットし、解析してどのような放射性物質が付着しているか、後で解析できるのである。
11月2日、3号機南側の連続ダストモニタの警報が発生した際、なぜ、その時刻のロールろ紙の解析をしないのか。
連続ダストモニタが本当に故障していたのかどうか、ロールろ紙を解析し、放射性物質の付着をみればいいだけなのに、なぜしないのか。
筆者は追及した。

ロールろ紙を確認せず、機器は故障と判断し全て取り換える

11月4日の東京電力定例会見にて、質疑の一部。
ーー連続ダストモニタで高高警報が発生した際、交換した予備品はどこの部分なのか。

東電白井氏:連続ダストモニタ全体を取り替えたのでどこの部分と言うことではない。

ーー警報が発生した際のロールろ紙の解析はしてないのか。

東電白井氏:当日は調査、復旧を先にしているのでやっていないと思う。

ーー警報が鳴ったときのダストを集塵したロールろ紙は保存しているか?

東電白井氏:把握していない。

ーー付近を手分析する事も必要だが、警報が鳴った際のダストモニタのロールろ紙、何を、どんなダストを集塵して警報を鳴らしたかの解析を何故急いでしないのか?

東電白井氏:当日作業は休日であり、発電所ではほとんど作業は行われていない。
風上、風上のモニタにも変化は現れてないことから、実際にそういう物ではないと判断しているからである。

ーー何故警報が鳴ったかは、ロールろ紙にダストがついているかどうか見れば、簡単に分析できる。なぜしないのか疑問が残る。

東電白井氏:一番早く、実際に出ているかどうかを評価する、判断するのが先と言うことで、周りから判断していく。
実際の、そういった物をするかどうかは、今後の課題。

ーー今後、ロールろ紙の解析をするか?

東電白井氏:そちらについては、現場に確認した上で回答したい。

ーー昨年、8月12日と19日に免震重要塔前の連続ダストモニタの警報が鳴ったときも、この件を確認したが、ロールろ紙の詳細な分析をせずに処分したと回答を頂いた。
南相馬の玄米を汚染したのは、3号機の瓦礫かどうかという疑問も、ダストモニタのロールろ紙を残してさえいれば、どのような核種が付着していたのか、3号機から飛んできた物と同様なのか、付近を取ったスミア試料と比べれば、わりとすぐにわかる事。
何故、警報が鳴ったダストモニタのロールろ紙の解析をしないのか?
そして、それはマニュアルにないのかどうかと言うのも、確認頂きたい。
私自身、南相馬の汚染は、元々付近にある物ではないかと思うが、3号機の瓦礫が飛んだのかどうか。
当時、調査をされた際のスミア試料やロール紙などを高輝度X線での撮影などをすれば、因果関係は直ぐにわかる事。
推定だけではなく、きちんとした調査をお願いする。
(@jaikoman 氏の東京電力記者会見の書き起こしの力を借りている。
ロールろ紙を確認せず、機器は故障と判断し全て取り換えたということは、
つまり連続ダストモニタのどこが故障かわからないため、全て取り換えた、ということなのである。
追及する筆者
追及する筆者
回答する東電白井氏
回答する東電白井氏

昨年8月の連続ダストモニタの警報発生時

筆者は、昨年、連続ダストモニタの警報が鳴り、3号機のガレキ撤去がそれに寄与しているのではないか、ということをいちはやくつきとめた。
熱中症対策のミストが原因では、という評価しかなかったときに、福島第一原発の現場に取材すると、
4号機の使用済み燃料棒の取り出しチームからこのような証言が得られたからだ。
3号機のガレキ撤去の際に、放射性物質を含んだダストが舞い上がり、ちょっとしたプルーム(放射性物質の雲)になっている。
4号機の使用済み燃料プールの作業による被ばくより、3号機のガレキ撤去での被ばくのほうが問題になっている」
そこで、連続ダストモニタの警報発生時の3号機ガレキ撤去のスケジュールの公開を求めると、
高線量汚染されたクレーンガーターの撤去のその日に警報が鳴ったということがわかったのだ。
(ちなみに、4号機の使用済み燃料棒取り出しチームが3号機のガレキ撤去のダストで被ばくしてしまうということで、後に、
3号機と4号機の間にフェンスを取り付け、ガレキ撤去によるダストでの被ばくを防護する対策などが行われる。)
さて、この3号機のガレキ撤去の際に舞い上がったダストがどこまで飛散したのか。
当時も筆者は追及したが、東京電力は
「敷地内のモニタリングポストしか監視対象ではないため、どこまで飛散したか把握していない」という回答であった。
今年の2月に、南相馬市の玄米に放射性物質が直接付着した、という説明会が南相馬市で行われた。
(以前に記事を書いているので、後ほどそのリンクを貼る)
当時取材した際、3号機のガレキ撤去の際のダストが南相馬まで飛散したのかどうか調査するすべを東京大学の複数の研究者に教えられた。
「連続ダストモニタに付着した放射性物質、調査した際のスミア試料の放射性物質と、
南相馬市の玄米に付着した放射性物質の核種組成、スペクトルを調べればいい。
ある程度、指紋のように、同じものかどうかわかる。」
 
「高輝度x線などの画像があれば参考になる」
(原発事故直後のプルームに含まれていた球状セシウム粒子との因果関係を調べるため)
今年7月、東京電力に再度取材したが、当時の連続ダストモニタのロールろ紙は、スミア試料もロールろ紙も保存せず処分したということであった。
連続ダストモニタの警報が発生した際は、放射性物質を吸着したロールろ紙の詳細な解析を要望する。
解析をしないままの「故障の判定」にも疑問が残る。

余談:連続ダストモニタのカットしたロールろ紙のGe帳表

9月4日に、原子力規制庁と東京電力との面談が行われていた。
昨年の3号機からのダスト状放射性物質の放出量評価に係る面談である。
⑤連続ダストモニタのカットしたロールろ紙の Ge帳票
ロールろ紙は処分されてしまったそうだが、Ge帳票が存在するなら、それについては今後取材したい。
また、筆者は昨年の取材メモを見直してみた。
すると、福島第一原発の作業員の方に取材した以下のメモを見つけた。
連続ダストモニタの警報が発生すると、その部分のろ紙はすぐに回収してラボにまわし、解析することになっている。
ルーティンのマニュアルで決まっているはず
ラボの解析が詰まっているのだろうか?」 

このメモをすっかり忘れていたことを反省したい。

今回、警報が鳴った際、その部分のろ紙をカットして回収し、ラボにまわして解析してないのはなぜか。
11月2日に連続ダストモニタの警報が発生した際、なぜロールろ紙の解析がすぐに行われなかったのか、
今後、ロールろ紙の解析が行われるのか取材を続ける。
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