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3行まとめ

 
・規制庁で発表された2~9月のトレンチ作業で、20mSV以上被ばくしたのは32人。
・東京電力が発表した2~9月の全ての作業で20mSV以上被ばくしたのは1人。
・規制庁への資料は鹿島建設が作成したとのこと。なぜこのような違いが生まれたのか。

トレンチ止水作業で20mSV以上被ばくしたのは32人

10月31日に発表された資料を見て、筆者は驚いた。

まず規制庁の第28回監視・評価検討会で発表された資料。
海水配管トレンチの止水工事における線量の評価のグラフを見てほしい。

(海水配管トレンチの止水工事とは『トレンチ止水』と略されることが多い。
建屋につながっているトレンチと呼ばれる配管に、高濃度の汚染水が滞留している。
そのため、トレンチの端を凍らせ、外部との縁を切り、トレンチ内部の汚染水を処理をする、という計画である。
この海水配管トレンチは、建屋の周りを囲む凍土壁に関わっているため、トレンチ止水が上手くいかなければ、凍土壁も成功しない。
なのでトレンチ止水を先行して施行しているが、現在も氷やドライアイスを入れたり、間詰め材を入れたりしている状況である)
このトレンチ止水作業は、高濃度汚染水に近いところでの作業のため、高線量被ばくすることが当初から予想されていた。
 
写真 1

http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/tokutei_kanshi/data/0028_01.pdf#page=8

作業別の累積線量をみると、20mSV以上被ばくした方が32人はおられる。
作業別、というより会社別のようである。
20mSV以上被ばくした方の内訳は次のようになっている。

 

元請会社(工事管理)(5名)
20~25mSV:1名
30~35mSV:1名
35~40mSV:2名
40~45mSV:1名
 
協力会社A(削孔、凍結管設置、凍結運転管理)(25名)
20~25mSV:7名
25~30mSV:15名
30~35mSV:3名
 
協力会社B(放射線防護、氷投入作業)(2名)
30~35mSV:1名
45~50mSV:1名
 

同時期の東京電力発表の資料は20mSV以上被ばくは1名

同日の東京電力のプレスリリースを見て驚いた。
東京電力は毎月末に、被ばく線量の評価状況をとりまとめている。
それを見ると、2~9月で20mSV以上外部被ばくした方は5月に1名おられるだけである。

 

写真 3

http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu14_j/images/141031j0705.pdf#page=3

東京電力の資料は「全ての作業」で20mSv以上被ばくした作業員は「1名」であり、
規制庁での資料は「トレンチ止水作業」のみで20mSV以上被ばくした作業員が「32名」なのである。

 

なぜこのように違いがあるのか。
東京電力はきちんと線量管理、把握しているのだろうか。

32名と1名の違いはなぜか、質問すると

11月4日の東京電力定例会見にて、筆者は質問した。

 

ーーなぜ2~9月の外部被ばく線量の数字にこのような違いがあるのか。
東京電力白井氏「詳細を確認する」

 

このような矛盾があるにも関わらず、すぐに回答は来なかった。
 その後、会見後のぶら下がりにて、このような情報がくる。

 

「この資料の主旨はどういうものか、バックデータを調べて整合性を確認する。
これは鹿島建設さんが作ったものである。
我々としても、この資料をどういった意味で出したのか、インパクトの強い、唐突感がある資料なので、
この資料を出した意味も含め詳細を確認する」

 

鹿島建設が、この被ばく線量のグラフを出した意味、
それはなかなか凍らないトレンチ止水作業の中、高線量被ばくし続けている、という訴えではないだろうか。

高線量作業ごとの被ばく線量の情報が公表されなくなった

現在、筆者は、福島第一原発の作業ごとの被ばく線量を公表してほしい、と要望し続けている。

 

建屋の内部調査など、高線量被ばくする作業は様々ある。

 

2013年までは、高線量被ばくが予想される作業は、計画線量、最大被ばく線量、作業時間、現場体制などを毎回公表していた。

 

写真 2

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/handouts/2013/images/handouts_130222_04-j.pdf#page=2

しかし、いつの間にか、作業ごとの作業員の被ばく線量の情報は公表されなくなった。

 

10月30日の東京電力の中長期・ロードマップ会見でも、再び筆者は情報公開を要望するが、
逆になぜ、その情報を知りたいのか、と聞かれる始末である。
以前まで公開していた情報をなぜ発表しなくなったのか。これは情報公開の後退である。

 

そして、東京電力の廃炉推進カンパニーのプレジデント増田氏は
「月末にとりまとめて公表している被ばく線量の分布で、情報公開は事足りていると考える」と回答する。

 

しかし、このように、元請会社の作成した作業ごとの被ばく線量の情報と、
東京電力がとりまとめる被ばく線量の資料とで、このように大きな違いがあるのなら、
やはり、高線量被ばくが予想される作業は、きちんと作業ごとに情報を公開することを改めて要望する。
IMG_3640

東京電力、川本氏と。川本氏はできるだけ調べて回答をくださるのでありがたい。 会見者が把握していない情報でも「私は覚えています、確かにありました、調べてきます」と回答をくださる。「すみません、私に分かるのはここまでで…」のときもあるが。

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