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熊本地震の長周期地震動は、川内原発の評価基準を超えていた!!

Byoshidori-makoken

4月 18, 2016
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3行まとめ

・18日、熊本地震についての臨時委員会と臨時会見が原子力規制庁で開催された。

・「情報発信が不十分であり、指摘があったので改善する」「しかし川内原発の技術的評価は十分。稼働していても安全」ということであった。

・しかし、気象庁を取材すると、川内原発の審査の評価基準を超える、長周期地震動が観測されていた。

臨時委員会と臨時会見

3月18日月曜10時半から、原子力規制委員会の臨時委員会と臨時会見が行われた。

議題は「平成28年熊本地震に関連する原子力施設等の状況について」である。

参考資料:議事次第 資料1_平成28年(2016年)熊本地震に関連する原子力施設等の状況について

動画 https://www.youtube.com/watch?v=5bSO-MrrD5I

 

撮影:おしどりケン
撮影:おしどりケン

情報発信の改善

主旨は、情報発信に関して、国民のニーズが汲み取れていなかった、地震が発生した場合の通常の情報発信はしていたが、

原子力立地自治体が揺れていなくても、付近で大きな地震があれば積極的に情報をしていく、とのことであった。

今後、明日からの予定で、10時と20時に、定期的に原子力施設の情報を発信していく計画があるそうだ。

熊本地震に関して、川内原発(鹿児島県)、玄海原発(佐賀県)、伊方原発(愛媛県)、島根原発(島根県)この4原発についての情報を1日2回、原子力規制庁のHP上で発表していく、とのことであった。

南西方向に震源が移動したら?

委員会中、伴信彦員から次のように質問があった。

「気象庁が南西方向にも震源が移動している、という評価を出している

その場合、川内に近いところで地震が起きるのでは?

どの程度の規模で、その影響は?」

この問いに関して石渡明委員が回答していた。

「(熊本地震で)今まで起きた最大の地震でマグニチュード7.3。

この付近の全部の断層が一度に動いたという評価でマグニチュード8.1。

それでも、152ガルくらいの揺れしかない」

と答えた。

長周期地震動の評価は?

筆者は、石渡委員のコメントの中に、長周期地震動の評価が無いので気になり、臨時会見で質問した。

気象庁の発表では、長周期地震動の階級4の地域が、発表されていたからである。

(14日1か所、16日3か所)

周期地震動は、震度が小さくても、構造物や配管、タンク(スロッシング現象等)に影響を及ぼす。

川内原発の審査資料でも「長大な活断層である布田川・日奈久断層帯、○島西方断層および長崎海脚断層による地震は長周期領域で卓越が見られる」という評価であった。

質問すると、委員長会見であったが、田中委員長ではなく、小林勝・耐震等規制総括官に回答するよう指示を出し、小林総括官から回答を得た。

 長周期地震動は200カインまで評価

川内原発は、長周期地震動は200カインまで評価しており、再稼働前の新規制基準適合審査で議論はなされた、とのことであった。

筆者は、熊本地震以降、川内原発の適合審査についての資料を読み返していたので、それがどの部分に該当するか、重ねて聞いた。

「長周期地震動200カインまで評価」というのは、資料として見つけることはできなかったので。

基準地震動の策定について(コメント回答)の資料のグラフの部分で「200カインが読み取れる」とのことであった。

IMG_9986
https://www.nsr.go.jp/data/000041591.pdf より、赤字は筆者

長周期地震動、階級4は200カイン相当か? と質問すると、小林総括官は

「具体的には知らないが、かなり厳しい数字だと聞いている」とのことであった。

気象庁に取材

筆者が取材すると、長周期地震動の階級4は、気象庁では100カイン(cm/s)以上という判断である。

では、具体的に、今回の熊本地震では、どの程度の長周期地震動が観測されたのか?

気象庁に確認した。回答は下記である。

日時 観測地点 絶対速度応答スペクトル
(cm/s)(カイン)
15日0:03 宇城市松橋(まつばせ)町 108.8529
16日1:25 宇城市松橋町 211.7008
16日1:25 南阿蘇村中松 150.3663
16日1:25 熊本西区春日 139.7024

 今回の熊本地震で、原子力規制庁で川内原発を再稼働の審査の中で、

長周期地震動は200カインまでは議論していたが、それを超える211カインという長周期地震動が観測されていたのである。

原子力規制委員会が、今日の臨時会見の中でも繰り替えしていた「技術的評価では安全」というのは、本当だろうか?

規制庁の評価は十分か? そして責任の所在はどこか

川内原発の避難計画には、九州新幹線や高速道路も入っているが、それは熊本地震後の現在、活用できない。

田中俊一・原子力規制委員長は

避難計画については、内閣のほうで。規制委員会ではない。

いろんな場合を想定した複合した計画を立てていると思う」

と話す。

田中俊一・原子力規制委員長 撮影(おしどりケン)
田中俊一・原子力規制委員長 撮影(おしどりケン)

丸川珠代・原子力防災担当相が「川内原発が停止させる必要はない。規制委員会が、川内原発は安全という評価をしている」と発言し、

田中俊一・原子力規制委員長は「我々は技術的評価をするのみ。技術的・科学的には安全。予防的に川内原発を止めるかどうかは政治的判断」と発言。

責任の所在はいったいどこなのか。

 

緊急停止するレベルではない限り、近隣で大地震が頻発していても、予防的に原発を停止する必要はない、と判断している原子力規制委員会である。

「技術的・科学的な安全評価をしている」とする原子力規制委員会だが、 長周期地震動は200カインまでしか評価はしていない。

しかし、今回の熊本地震において、200カインを超える地点が観測された。

これはどう評価するのだろうか?

配管やタンクのスロッシング現象などの評価はどうしているのだろうか?

今も、取材は継続しており、回答待ちの状態である。

 (全文の転載は禁止いたします)

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質問する筆者(撮影 おしどりケン)

 

 

 

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