3行まとめ
・原発事故直後の住民の初期被ばくの実測値はほとんど無い。
・長崎大学の松田尚樹氏が3月17日頃に福島医大内の保育園児や職員の甲状腺線量を測定していたという情報があった。
・その手がかりを元に、福島県民が情報開示請求をしても理不尽な理由で公開されなかった。
3月17日の福島医大内の保育園児、職員の方々の甲状腺線量実測値が存在
2011年3月の福島第一原発事故後の住民の初期被ばくはほとんど測定されていない。
2011年3月から5月に、飯舘村民たちの「自分たちで移動するので測定してほしい」という要望も通らなかった。
筆者は継続して取材をしており、住民の初期被ばく線量についてはたびたび記事にまとめている。
福島の方から情報提供があったので、まとめる。
長崎大学の松田尚樹氏が3月17日頃に測定
『別冊科学2012年 「検証 福島第一原発事故」』に長崎大学の松田尚樹氏が「放射線クライシスの現場」という文章を寄稿されていた。
その中に、2011年3月17日頃に、福島県立医科大内の保育園の園児、職員たちの甲状腺線量を測定した、という情報が含まれていた。
不開示の理由は「ハードディスクの故障」
他、この記事にまつわる様々な情報を、昨年9月に福島県の方が開示請求した。
しかし、その結果は不開示であった。
特に、開示請求した方が、一番望んでいた情報である、事故直後の住民の被ばく線量の実測値、
「2011年3月17日頃の福島医大内の保育園児や職員らの甲状腺線量測定結果」について、
不開示の理由は
「現時点では存在を確認できません。
※データが保存されている可能性があるハードディスクが故障しているため。」
という納得できないものであった。
小渕優子氏の関係先のパソコンのハードディスクがドリルで壊されていたことを思い出させる、不開示の理由であった。
実測値、情報を公開せずに、内部で評価して「安全」だけを押し付ける現在の風潮は、不安を増長させるだけである。
本当に問題無いのであれば、「安全」という答えを出す研究者にだけ情報を公開するのではなく、
開かれた場所に、様々な考え方の研究者に、市民に、情報を公開するべきでは、と筆者は強く思う。