3行まとめ
・港湾内と外洋の海水は、潮の満ち引きで一日に50%程度入れ替わる、と東京電力は説明。
・その海水の入れ替わりに5.6号取水放水ライン(7000t/時)は含まず。
・汚染水は港湾内で希釈してから外洋へ。
港湾内と外洋の海水の入れ替わり
現在、港湾内と外洋で、海水はどの程度入れ替わっているのか。
2月22日の汚染水流出の前、筆者は19日の東京電力の会見にて、質問をしていた。
東京電力の回答は、「港湾内と海水は50%程度入れ替わっている、と認識している」とのことであった。
50%という数字に、5/6号の取水放水ラインは含まれているのか、
その海水の入れ替わりは潮の満ち引きだけを考慮した数字か、とあらためて聞いていた。
5/6号の取水放水ラインは、5号機6号機の原子炉・使用済み燃料プールを冷却するため、
港湾内から海水を汲み上げ、港湾内に放出しているラインである。
ちなみにこの港湾から外洋への海水の量は、一時間に7000t。
つまり、一日に16万8千tの海水を、港湾内から外洋に出しているポンプ(計4つ)のラインなのである。
(この数字、ポンプの個数は、同19日に東京電力からの回答でも確認した)
「5/6号取水放水ラインによる海水の汲み上げは、50%という数字に入っていない。
これはあくまでも、潮の満ち引きによる海水の入れ替わりの数字、港湾口のデータの推計によるものである」
というのが東京電力の回答であった。
一日に16万8千tの海水をくみ上げている5/6号の取水放水ラインを考慮すると、
海水の入れ替わりは50%ではなく、もっと上昇するだろう。
港湾も外洋も「海」だが、区別する東京電力
東京電力は汚染水が流出した際に、「港湾内への流出であって外洋ではない」と説明する。
港湾内と外洋はつながっており、海水が入れ替わっているにも関わらず、
海にそのまま汚染水が流れているのではない、と説明するのである。
2月19日の会見では東電廃炉推進カンパニー広報担当川村信一氏は「汚染水は海に直接流してはいない」と説明した。
筆者が「港湾は海ではないと考えているのか、港湾と外洋はつながっており海水も入れ替わっているではないか」と問いただすと
「海ではなく外洋の言い間違いであった」と訂正した。
福島第一原発の汚染水は、まず、港湾内に流れこみ、それから外洋に出ていく。
東京電力は「外洋へは影響が少ない」というロジックを使うのは、
まず港湾内で汚染水が希釈されてから、外洋へ流れ出ているためである。
次に、22日の汚染水流出以外の、現在の汚染水状況をまとめていく。