3行まとめ
・22日、排水路の側溝放射線モニタの警報が発生。
・全β濃度の高い汚染水が港湾内に流出。
・現在、海洋へ流出している汚染水は相当量あり、港湾と外洋の海水は日々入れ替わっている
(次の記事で詳細を)
汚染水流出の詳細
22日10時頃、側溝排水放射線モニタ「高」警報が発生。10分後に「高高」警報が発生。
汚染水の側溝への流入箇所は特定できていないが、東京電力は、排水路に汚染水が流入し、港湾内に流出したと推定。
港湾に流出した汚染水の濃度は、以下である。
モニタの最高値 | 7230Bq/L(全β) | (10:40 B系モニタ) |
側溝モニタ周辺のサンプリング水 | 3800Bq/L(全β) | (11:00採取) |
側溝周辺の港湾内の海水 | 3000Bq/L(全β) | (12:30採取) |
側溝モニタ周辺のサンプリング水と、側溝の出口付近の海水の濃度が近いことから、
汚染水は港湾へ流出したものと推定される。
(海へ流れ出てもほとんど希釈されていないことから、高濃度の汚染水が相当量流出したと筆者は予想する)
側溝放射線モニタについて
側溝放射線モニタの運用開始は2014年7月14日からである。
設置目的は、タンクからの汚染水が漏えいした場合、排水路への流入有無を検知することである。
運用開始から、この側溝放射線モニタには筆者は懸念があり、会見で質問し続けた。
警報値が高すぎるのではないか、という懸念である。
全βが10の3乗レベルが警報の設定値なので、1000~9000Bq/Lの濃度の汚染水でないと検知できない。
全βへのストロンチウム90の寄与の割合は、場所によって様々である。
しかし、福島第一原発では、全βのそのほとんど~5割程度がストロンチウム90となっている。
環境への排水の告示濃度限度は、ストロンチウム90は30Bq/Lである。
告示濃度限度が30Bq/Lのところ、警報設定レベルが1000~9000Bq/Lというのは、高すぎではないか、
と筆者は質問し続けていたのである。
しかし、東京電力の回答は
「それ以下だと雨水による影響も検知してしまい、汚染水の漏えいのみを検知するという目的が果たせない」
というものだった。
タンクからの汚染水漏えいの検知も重要ではあるが、それ以前に、雨水の影響による汚染水流出、
本来は環境に排出してはいけない濃度の汚染水の流出は無視されているのである。
港湾と外洋の海水がどの程度入れ替わっているか、
他に海へ流出している汚染水はどのようなものがあるか、次の記事にまとめる。
【お知らせ】【福島第一】海への放射性物質の流出の可能性あり(第3報)
原子力規制庁事故対処室からのメール
18:23 第3報、13:33 第2報 、11:33 第1報
報道関係者各位 本日(22日)、東京電力から、構内側溝排水放射線モニタ「高高」警報が発生した旨の続報です。 本日16時55分、東京電力から、構内側溝排水放射線モニタが正常に動作しており、流入箇所は特定できていないものの、管理区域外にあたる港湾内に放射性物質が流出したと判断し、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第62条の3の規定に基づく報告を受けましたので、お知らせします。 ○14時02分、当該モニタの警報発生時に汚染水の移送中であった系統の配管パトロール結果は異常なし。 ○15時01分、バキューム車を使用し、当該排水路に溜まった水の回収作業を開始。回収した水は1000トンノッチタンクに移送。 ○サンプリング結果 ・側溝モニタ周辺 3.8×10の3乗ベクレル毎リットル(全ベータ)(11時採取) ・港湾内(側溝周辺) 3.0×10の3乗ベクレル毎リットル(全ベータ)(12時30分時採取) ○構内側溝排水放射線モニタの値(通常値は100ベクレル毎リットル以下) 16時20分現在 A系 1.22×10の3乗ベクレル毎リットル(全ベータ) B系 1.71×10の3乗ベクレル毎リットル(全ベータ) 過去最大値 A系 5.63×10の3乗ベクレル毎リットル(全ベータ) B系 7.23×10の3乗ベクレル毎リットル(全ベータ) ---------------(以下、第2報)------------------------- 本日(22日)、東京電力から、構内側溝排水放射線モニタ「高高」警報が発生した旨の続報です。 11時35分に排水路ゲートを閉めたため、海への流出は止まっています。 ○10時18分、念のため地下水バイパスの海洋への排水を停止。 ○10時30分、全汚染水タンク水位に有意な変動がないことを確認。 ○11時35分、排水路ゲートの最下流側を閉、12時07分までにB排水路及びC排水路のゲートを閉にした。 ○12時20分、全汚染水タンクについて、タンクパトロール結果は異常なし。 ○現在、排水路及び港湾内のサンプリングを実施するとともに、警報発生の原因について引き続き調査中。 ○構内側溝排水放射線モニタの値(通常値は100ベクレル毎リットル以下) 11時00分現在 A系 4.63×10の3乗ベクレル毎リットル(全ベータ) B系 6.42×10の3乗ベクレル毎リットル(全ベータ) 11時30分現在 A系 3.40×10の3乗ベクレル毎リットル(全ベータ) B系 4.86×10の3乗ベクレル毎リットル(全ベータ) 12時00分現在 A系 2.48×10の3乗ベクレル毎リットル(全ベータ) B系 3.48×10の3乗ベクレル毎リットル(全ベータ) 12時30分現在 A系 2.01×10の3乗ベクレル毎リットル(全ベータ) B系 2.80×10の3乗ベクレル毎リットル(全ベータ) 13時00分現在 A系 1.65×10の3乗ベクレル毎リットル(全ベータ) B系 2.24×10の3乗ベクレル毎リットル(全ベータ) ○モニタリングポスト指示値に有意な変動なし。 本件について、現地保安検査官が状況の確認を行っています。 引き続き、追加情報が入り次第、ご連絡いたします。 ---------------(以下、第1報)------------------------- 本日(22日)、東京電力から、構内側溝排水放射線モニタ「高高」警報が発生した旨の連絡がありました。(本日10時48分から順次受信) ○本日、10時00分頃に構内側溝排水放射線モニタ「高」警報が発生 ○10:10分頃に構内側溝排水放射線モニタ「高高」警報が発生 ○10:20現在のモニタの値 A系 5.05×10の3乗ベクレル毎リットル(全ベータ) B系 5.63×10の3乗ベクレル毎リットル(全ベータ) ○10:30現在のモニタの値 A系 5.63×10の3乗ベクレル毎リットル(全ベータ) B系 6.81×10の3乗ベクレル毎リットル(全ベータ) ○10:40現在のモニタの値 A系 5.56×10の3乗ベクレル毎リットル(全ベータ) B系 7.23×10の3乗ベクレル毎リットル(全ベータ) ○10:50現在のモニタの値 A系 5.21×10の3乗ベクレル毎リットル(全ベータ) B系 7.06×10の3乗ベクレル毎リットル(全ベータ) ○現在、構内汚染水タンク等の漏えいの有無及び構内側溝排水放射線モニタの健全性の確認を実施している。 ○10時20分に全汚染水タンクエリアの止水弁を閉止、35m盤上の汚染水移送の停止、排水路ゲート「閉」を指示。 ○10時25分に全汚染水タンクエリアの止水弁の閉止を確認。 引き続き、追加情報が入り次第、ご連絡いたします。 (担当) 原子力規制庁 広報室 事故対処室
【東京電力からのご連絡】福島第一原子力発電所構内側溝排水放射線モニタ警報発生について(続報2)
──────────────────────────────────── 東京電力からのご連絡 ──────────────────────────────────── 報道関係各位 本メールは、事前に「深夜・早朝における連絡先」の登録のお申し込みをいただ いた方にお知らせしています。 ○本日(2月22日)、構内側溝排水放射線モニタ警報発生についての続報です。 ○当該排水路について全ベータ放射能の分析を行った結果、以下のとおりでした。 この分析結果は、定例で分析している当該モニタ近傍(タンク脇側溝(C排水路 の合流点前))の昨日の全ベータ分析結果40Bq/Lと比較して、有意な変動である ことを確認しました。 構内側溝排水放射線モニタ近傍:3.8×10^3Bq/L(午前11時00分採取) 発電所港湾内排水路出口 :3.0×10^3Bq/L(午後0時30分採取) ○また、「高高」警報発生後の当該放射線モニタ指示値の最大値は以下のとおり であり、流入箇所は特定できていないものの、排水路に汚染された水が流入し、 発電所港湾内に流出したと推定しました。 <構内側溝排水放射線モニタ指示値(最大値)> A系:5.63×10^3Bq/L(全ベータ) B系:7.23×10^3Bq/L(全ベータ) ○構内側溝排水放射線モニタ警報発生については、本日午後4時55分に核原料物質、 核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第62条の3に基づき制定された、東京 電力株式会社福島第一原子力発電所原子炉施設の保安及び特定核燃料物質の防護 に関する規則第18条第11号「核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物が 管理区域外で漏えいしたとき。」に該当すると判断しました。 ○なお、午後1時50分に採取した構内側溝排水放射線モニタ近傍の全ベータ放射能 分析結果は、約390Bq/Lに低下しております。 ○本メールには返信できませんのでご了承ください。 以 上 <お知らせ済み> ----------------------------------------------------------------------- ○本日(2月22日)午前11時頃に採取した当該排水路の分析結果について、 セシウム134:4Bq/L セシウム137:11Bq/L でした。(全ベータについては、分析中) この分析結果は、定例で分析している当該モニタ近傍の昨日の分析結果 タンク脇側溝(C排水路の合流点前) セシウム134:検出限界値未満(15Bq/L) セシウム137:検出限界値未満(23Bq/L) と比較して、低い値でありました。 ○本日(2月22日)午前11時46分までに、多核種除去設備、増設多核種除去設備、 高性能多核種除去設備、RO濃縮水処理設備、モバイルストロンチウム除去装置 (A系・B系・第二の2および4)を停止し、35m盤の移送をすべて停止しました。 ○当該放射線モニタA系は、午前11時50分に2.68×10^3Bq/L(全ベータ)を確認、 当該放射線モニタB系は、午後0時20分に2.96×10^3Bq/L(全ベータ)を確認し、 「高高」警報が解除となりました。 (「高高」警報設定値:3.0×10^3Bq/L(全ベータ)) ○本日(2月22日)午後0時20分、全汚染水タンクについて、タンクパトロールを 完了し、漏えい等の異常がないことを確認しました。 ○本日(2月22日)午後0時47分、排水路ゲートをすべて「閉」にしました。 ○当該放射線モニタA系は、午後1時30分に1.45×10^3Bq/L(全ベータ)を確認し 「高」警報が解除となりました。 (「高」警報設定値:1.5×10^3Bq/L(全ベータ)) ○本日(2月22日)午後2時2分、当該モニタの警報発生時に汚染水の移送中であっ た系統の配管パトロールを実施し、漏えい等の異常がないことを確認しました。 ○本日(2月22日)午後2時50分現在、当該放射線モニタの指示値については、以 下のとおりです。 A系:1.24×10^3Bq/L(全ベータ)(警報発生なし) B系:1.78×10^3Bq/L(全ベータ)(「高」警報発生中) ○本日(2月22日)午後3時1分、当該排水路に溜まった水の排水のため、パワー プロべスター(バキューム車)によるくみ上げを開始しました。 ○現在排水路、排水路出口および港湾内のサンプリングを実施するとともに、警報 発生の原因について引き続き調査を実施しております。 ○なお、モニタリングポスト指示値の有意な変動は確認されておりません。 ○本メールには返信できませんのでご了承ください。 ※側溝放射線モニタにつきましては、平成26年6月16日に公表した資料のPDF17~23 ページをご確認ください。 http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/roadmap/images/l140616_04-j.pdf 以 上 <お知らせ済み> ----------------------------------------------------------------------- ○本日(2月22日)午前10時頃、構内側溝排水放射線モニタ「高」警報が発生しま した。その後、午前10時10分頃、構内側溝排水放射線モニタ「高高」警報が発生 しました。 ○本日(2月22日)午前10時20分現在、当該放射線モニタの指示値については、 以下のとおりです。 A系:5.05×10^3Bq/L(全ベータ) B系:5.63×10^3Bq/L(全ベータ) ○現在、構内汚染水タンク等の漏えいの有無および、構内側溝排水放射線モニタ の健全性の確認を実施しています。 ○また、午前10時20分、全汚染水タンクエリアの止水弁「閉」の確認、35m盤上の 汚染水移送の停止、排水路ゲート「閉」を指示しました。 ○その後、以下のことを確認しております。 ・午前10時25分、全汚染水タンクエリアの止水弁が「閉」となっていること ・午前10時30分、全汚染水タンクの水位に有意な変動がないこと ○本警報発生に伴い、本日(2月22日)予定していた地下水バイパス一時貯留タン ク(Gr3)からの排水について、午前10時3分、地下水バイパス一時貯留タン ク(Gr3-1,Gr3-2,Gr3-3)に貯留してある水の海洋への排水を 開始いたしましたが、同日午前10時18分、念のため、排水を停止しました。 ○なお、モニタリングポスト指示値の有意な変動は確認されておりません。 ○本メールには返信できませんのでご了承ください。 以 上