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福島大学の渡邊教授の思いの詰まった質疑

Byoshidori-makoken

12月 31, 2014
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2014年12月26日 特定原子力施設監視・評価検討会での渡邊明 教授の質疑部分の文字起こしです。

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2014年12月26日 特定原子力施設監視・評価検討会

 

渡邊 明 福島大学教授
そもそも福島第一原発の事故と云う物は、どう云う形で想定していて。
尚且つ想定した上でどう云う緊急対策というか、避難対策を考えているのかと云うのが見えてこないのですよ。
例えば、リスク低減が図られているという点では正に、4号機の燃料プールの燃料取り出しが終わったら、、。
そう云う物も含めて点検されています。
でも、肝心のデブリの問題と云うのはまだ存在位置もわからない訳ですね。
こういう形の時に専門家の先生方は本当に「リスクが無い」と云う風に、しかも3ページの中では、「再臨界は有り得ない」。
これ、言い切れるのでしょうか。
あえてこういう公開の所で私は危機管理の話をしたく無いのですが。
ただ、この委員会の中ではそういう結論に異論がなかったと云う話ですよね。
我々にしてみれば、やはりそう云う物(デブリ)がまだ残っている。
その可能性と云うのは、まだデブリが何処にあるかわからないのだから、「あるよ」
と云う風に思ってる筈でしょ、それは。
そう云う中でこう云う表現の仕方がいいのかどうか、まずその一点が私にはよく分かりません。
それから、2ページ目に書かれている内容ですが。
これを見ますと、今避難している所を含めて中心的に4マイクロなり5マイクロなりになっってると云うことがあって、こう云う事を書かれてるんだと思いますが。
そうすると、3ページに書かれてる、プラス5と云うのは、「毎時10マイクロシーベルトにならなかったら避難はしませんよ」と云うことになるんでしょうか。
これ、私の理解が間違っていたら訂正していただけますでしょうか。
プラス5マイクロシーベルトは10マイクロシーベルトにいなりますよ。
例えば、4.8マイクロシーベルトの飛散が有ったとすれば、5マイクロのスカイシャインと言いますか、今の汚染状況があれば、出て来ませんよね、線量は。
それが本当にいいのか、と云う問題を専門家の方はどう云うふぃいに考えているのかなと思います。
とりわけ、これからの放射線の避難対策を考えた時、今高い所は勿論これでいいと思いますが、一つの方法だと思いますけれども。
例えば、どちらに飛ぶかわからない様な状況の中の、プリュームのの予測がちゃんとされてないとですね、避難のけんいと云うのは一律的にはならないだろうと思います。
この議題とは直接関わりないかもしれませんが。
今回、規制庁の中で安全対策の中に、数値モデルを使わないと云う。
要するに「神話だ」と云う話をされてる様ですが、私はおかしいと思います。
私からすると、今の数値モデルと云うのは、物凄く確かな物になっていて、SPEEDIなんかよりもはるかにいい物が沢山あるわけですよ。
そい云う、国内的、国外的な知見も含めてですね、やっぱり安全対策を図るべきである。例えば、具体的な対応の中で、福島県のばあい。
事故ではなくて、「いつ、何時にベントをしなければならない。」
しかし、「まだ余裕がある。」といった時に、数値モデルを動かして避難の対策が出来るはずですよ。
で、想定される物は、全部が全部福島県の様な事故だけでは無いのですから。
いろんな意味でその事故対策に対応する物を本来は検討しないといけないのではないか。
それからもう一つ最後に、PAZとかUPZの件なんですけど。
これを適用すると云う適用の仕方。
これは福島の教訓の中でも生きていないという風に思います。
少なくとも、一番最後の地図を見ていただくと。 
30km圏内を超えて、やっぱり飯館と川俣とかまだ避難地域とか帰還出来ない地域がある訳です。
しかも今回見えるのは具体的にその、いわば国が避難をするというより自治体の首長が避難をさせる訳ですので、自治体と一丸になってどの様に避難行動をとるか、というのが福島の教訓になってる様に思うんですね。
そういうことが全く生かされていないということも、非常に残念に思います。
ですから、今まで出されていた中身の中でデブリのきちっとしたリスク評価をした上でですね、「こういうことが有りません」と云うことであれば、私もある程度受けることは出来ますけれど、まだ有り様もわからない段階で、こういう安全対策でいいのか。
と云うことについては、非常に疑惑を感じます。
以上です。


更田豊志委員
色々いっぱい有りますけれども、
あのこれ委員会の意見ではなくて私の意見だと思っていただいて結構ですけれども。
希ガス、それからヨウ素等が飛んでしまっている炉心。
今のいわゆる溶融炉心など、デブリですね。
に、非常に強い放射線のプルームを出すだけの余力はもう残っていない。
だからどちらが危険だという言い方はふさわしく無いかもしれませんけれども。
大きな事故が起きたときには原子力発電所の方が稀ガスもあれば、放射性ヨウ素もまだ残っていて。
ですから運転停止した直後に炉心溶融を起こしたものに比べれば今のこのデブリの状態になっているものがもう放射性物質を出す能力という点に関しては、福島第一原子力発電所の方がはるかに低くなっている。
それから、再臨界について。
危害を及ぼすような再臨界というのは事実上ないと思っていいと思います。
で、再臨界と言うと非常に言葉として恐ろしく受け取られるかもしれないけど、ちょっとやそっと臨界になったところで何も起きませんからほとんど。
ですから、そういった意味では、住民の防護策を考えなきゃならないないような再臨界の可能性と云うのは事実上否定出来ると思っています。
それから一方で、確かに福島第一原子力発電所の今の状況というのは溶融デブリも含めて、非常に大きな運転中の発電所や運転停止直後の発電所に比べれば、ヨウ素であるとか希ガスというものを環境に撒き散らす可能性は低くなっている一方で、特殊事情としては、通常閉じ込めというのは何重もの防護策でとられているけれども。
福島第一原子力発電所というのはそれが一重だったのです。
でその防護策の状況も分からない。
で、何を恐れるかですけれども、環境汚染を恐れるんだったらば、福島第一原子力発電所はまだまだ安定した状態とはいえない。
例えばですけど海洋汚染のリスク、可能性というのはまだまだ高いと思っています。
ただ、一方で周辺に住む、お住まいの人々の健康に与える影響という意味では、これは運転中やあるいは運転停止直後の原子力発電所に比べればはるかに低いと思っています。
で、それに基づいて、こういった提案になっています。
それから数値モデルに関して言えば。
気象予測であるとか、そういったものに関する技術の進歩というのは、
これはご専門でしょうけれども、著しい進歩はあると思っています。
一方で、いつ何がどれだけ出るかということに関しては、ベントを前提としたとしても「わからない」と見るのが妥当です。
ベントっていうのは、「蛇口を開けたらすぐ出てきます」という代物ではありません。
ですから、フィルターアドベントというのは規制で各事業者の提案として設置をすることがあります、その、していますけれども。
フィルターアドベントが着こうと、耐圧強化ベントであろうと「これがついてるから放出タイミングがわかります」というような、これこそ安全神話です。
ですから、放出タイミングが分かるのであれば現在の気象予測の知識や技術の進歩に関して、予測というのはありうるかもしれない。
だけれども、放出タイミングや量を予測するというのは、これは残念ながら、これができると思うのは完全な安全神話だと私は理解おります。


渡邊 明 福島大学教授
例えばその、今たくさん抱えられている使用済み燃料の問題ですね。
こういうものが例えば、デブリではなくても冷却機能が自然災害等々で欠落をした場合、こういう時にも「臨界状態というのは起こらない」とはいえないのではないかと思うのですね。
そういう意味でも、今の福島の現状を考えると、かなり、プールがいっぱいの状況になっているという中でですね、こういう問題をどういう風に考えて安全対策をするのか。
というのは、デブリの問題というのが専門的な立場から「安全だ」と云うお話しがありましたので、それはそれで専門家としては尊重したいと思いますけれども、しかしその以外の、燃料の問題というのはどういう風に考えたらいいのか。
これはぜひ教えていただきたいのですが。
もう一つ、シュミレーションの問題なのですが。
いつどれだけ出たかわからない、これは福島の教訓ですね。
「わからないから使えないんだ」という風におっしゃりますけれども、そうではなくて、あくまでも相対濃度で私はいいと思うんですね。
それは、測って安全対策なり、測って避難をさせるということは、逆に言えば「住民に被ばくさしてからでしか実は、避難させませんよ。」
ということも言う様なもので。
私からすれば「出てる」ということがわかればですね、相対的に計測をする。
例えば、計測するといったってどこを計測するかわからないわけですよね。
20キロ以内で計測すればいいという風には指示が出ておりますけれども、やっぱりモデルがあれば「じゃあここの濃度が高いんだったらここを測ってみて、相対的に比べましょう」
これは今のモデルがきちんとできますね。
ですから、その点から言うとやっぱりモデルをきちんと取ってですね、それでしかもプリュームの動きなりなんなりご見るというのはすごく大切だと思うんです。
もしSPEEDIがうまくいかないというのは。
使い方の問題であって、今かなりの福島の原発を受けてですね、いろんな研究者がいいモデルを開発してます。
そういう意味からすると、使い勝手というのはすごくよくなっていると思います。
ですからその点から是非ですね避難対策の中で何が一番、そのどこに避難するかという事がわからなかった。
そこにメスを入れて、モデルの中での避難行動というのを決定させる事は重要な事だと私は思います。
これは見解が違うかもしれませんけれども、それはそういうふうに私は今の技術はそこまで行ってると思います。


更田豊志委員
見解の相違はめちゃくちゃあると思いますけれども。
1つものすごく大きな誤解があるので、その誤解だけは解いておきたいと思います。
モニタリングの値をベースに防護措置をとり、漏れてから避難をさせるというような。
ものすごく大きな誤解をされている。
実は、今度の災害対策指針の一番大きなところは。
「まだ何も出ていない状態でPAZに対しては避難させる」という。
それがEALの原則ですから。
まだ何も出ていない、一切周辺ではモニタリングで何も測られていない状態でPAZにはプラントの状態を見て。
例えば電源がないとか冷却が止まっているとか。
その状態でまだ何も環境に出ていない状態で住民の防護策をとる、というのが災害対策指針の新しい精神ですので。
ここは大きな誤解で、漏れてから防護措置を取るという。
ずっと早くなったんです。
そこは全くの誤解です。


渡邊 明 福島大学教授
わかりました。
県内についてはそうですよね。
だけど問題は福島の今の原発から考えたときに、最後のこの地図に出てますけれども。
飯舘の人たちで30キロ圏外に離れれば。
あるいは、事故が起こったら即5キロでしょうか、10キロでしょうか避難させるという、そこの地域を除いた人については、結局は測ってからの話になるわけですね。
私はそこは誤解してないつもりなんですよね。
要するに、問題は今回の飛散というのは簡単に言えば30キロで収まらなかった。
方向性もきちっと出ていて。
そういう意味では30キロ圏外を超えて汚染をされた。
とそういうことをしたときに、今そのAPZなりUPZを考えた時に、5キロがいいか10キロがいいかという問題はあるかもしれませんが。
基本的には30キロ圏外のひとたちについては、それは避難と云う物にはならなくて、基本的には「測ってから」ということになりませんか。


更田豊志委員
それはずっと近い時点でのモニタリングの結果を得てから、
より遠くに対しての防護措置を取ることになります。
それはおっしゃるとおりです。
ただし、非常に遠い人たち。
例えば30キロ圏外の人たちに対する防護措置を厚く取ろうとすることは、よりリスクの高いより近い人たちに対する防護措置を薄くする結果になって、より大きなリスクに近い人たちをさらすことになります。
ですから、よくPAZ、UPZは大きければ大きいほど安心であるかのように言いますけれども、防護措置を取るには一定の時間がかかるわけで、いたずらにUPZを大きくしてしまったら、より近くの人達を守り切れないのです。
そこに非常に大きな誤解があって、でまた距離があればあるほど防護措置を取るための余裕の時間がありますので、ここは広く取れば安心。
遠くの人までも守りましょうそれは近くの人をより危険にさらすことになりますからそういう単純な議論ではないと思っています。
それから、見解の相違についてはここであまり詰めようとは思いませんけれども。


渡邊 明 福島大学教授
ただ問題は、そういうときにですね福島の北西方向に流れた高濃度の汚染領域というのはちゃんとモデルでわかってるわけですよね。
少なくとも相対値としては既に分かっているわけですから、そういう観点からすれば決して今、「近いから全部避難しなさい」というレベル、或いは「そこに手厚くしなさい」そちらが薄くなるという事ではなくて。
そういう科学的なツールを使えば、高汚染の可能性のあるところだけをいわば集中的にできる、という問題ではないかと私は考えるものですから、モデルの問題についても検討して欲しいというそういう意味です。


更田豊志委員
モデルの問題について議論というのはあると思いますけれども。
一方これ、申し伝えておきますが。
モデル、シミレーションに頼った防護措置をとろうという議論というのは、国際的な議論からすると極めて外れた議論であって、IAEAは報告書で明確にその「そういったシュミレーションに頼るべきではない」と述べていますので。
必ずしも国際的に沿っていればそれだけでいいというものでは決してないので、議論することの価値はあろうかと思いますけれども、EAL、OALに基づいて介入をしていくという防災の考え方というのは、国際的な通念に沿ってあるものだだというふうに理解はしております。
それから、2つ目の再臨界に関して言うと。
デブリの取り出しに伴う再臨界を心配しなきゃならないのだったら、もっと心配しなきゃならないことがたくさんある。
むしろ事実上溶融デブリに関する再臨界に注意を払うことは、むしろ得策ではなくて。
ただ、使用済み燃料プールからの燃料の取り出しで、集合体を1つ落としてですね割ってしまったとする。
そうなったしてもも敷地境界内の線量としては5マイクロシーベルトパーアワーにはなかなかならないだろうと思われるけども、一方で近寄ることができなくなりますから、非常に厄介な問題を残します。
住民の方の防護という問題からは大きな懸念ではないかもしれないけれども、厄介なこと。
それから、ダストの問題に関しては規制委員会の見解を示してきましたけども、今後ともよりこれから建屋の解体等々につながっていくのであればダスト等々に関しては注意を払っていく必要があると思っています。
これは災害対策事前検討チームでも正論に至ってるわけでは、、。
次回この修正案に対して議論を進めていくことになるんだろうと思っていますけれども。

 

 

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