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3行まとめ

・19日に刑事訴訟の判決が出る2日前の17日、群馬訴訟において、国側から酷い主張が出た。

・「自主避難者」は「我が国の国土を不当に評価している」

・この国によるヘイトスピーチは、今後、全国の裁判所での集団訴訟で適用される可能性が高い。  

(21日15時30分、5行追記しました)

「被告人3名をいずれも無罪とする」

19日、東京電力福島第一原発事故において、旧経営陣3名が、業務上過失致死傷罪で強制起訴された裁判の一審判決が出た。

全国各地で原発事故をめぐって裁判が行われているが、それは民事訴訟であり、これは唯一の刑事訴訟である。

 

筆者は東京地裁の法廷内で判決を聞いた。

「被告人3名をいずれも無罪とする」

裁判長が、冒頭にそう発言した際、傍聴席からは悲鳴と抗議の声が上がった。

しかし、この訴訟は、法廷内に14人という異例の数の警備スタッフがおり、

声が上がった途端、傍聴席の全ての通路に警備スタッフが走り出て、傍聴席を制した。

東京電力の経営陣に無罪判決が出たあと、憤る裁判所前。(撮影:おしどりケン)

「今日は良くない判決が出るだろうから」

この刑事訴訟での判決も驚くべきことが多々あったが、筆者が気になったのは判決前の、群馬訴訟の原告のこの言葉である。

この二日前の17日に、東京地裁と同じ場所の東京高裁で行われた、群馬訴訟の控訴審第7回口頭弁論の中で、 国側が驚くべき主張をしてきたというのだ。

群馬訴訟とは、福島第一原発事故で、福島県から群馬県に避難した方々の集団訴訟である。

 

東京地裁と同じ場所の東京高裁で、国の酷い主張を聞いた群馬訴訟の原告は、刑事訴訟の判決が出る前の法廷の中、

二日前に、国は酷いことを言ってきたの。他の裁判でも国は同じ主張をしてくるわよ。

そして、今日の裁判でも良くない判決が出るだろうから、私たち裁判の原告は、このままにせずもっと何か言わねばならない」  

そしてその後、筆者が渡されたのが一枚の紙である。

(赤線は筆者)
(原告の連絡先が入っていたため、その部分にモザイクをかけた)

「加害者(国)が被害者に、『お前が加害者だ』とレッテルを貼る」

「自主的避難等対象区域からの避難者について」つまり、いわゆる自主避難者らは

自主的避難等対象区域に居住する住民の心情を害し、ひいては我が国の国土に対する不当な評価となるものであって、容認できない」  

 

いわゆる「自主避難者」らは、「我が国の国土」に「不当な評価」をしている!?

つまり、国が決めた避難区域以外から避難した方々は、それは「不当な評価」だと。

国の評価に従え、と。

国が決めた避難区域以外からは逃げるな、と。

 

(以下5行、追記分)

また、こうも主張している。

「自主的避難等対象区域以外からの避難者」らは 「自主的避難等対象区域に居住する住民心情を害し」ている、と。

つまり「自主避難者」らが、住み続ける方々を傷つけているのだと。

(取り消し線部分、19日20時修正しました)

 

群馬訴訟の原告はこの部分についてこう語った。

「原発事故の加害者は国と東京電力でしょう? 住民同士の対立を煽っているの? 私たちが加害者だというの?」  

(以上5行、追記分終わり)

あまりにもの国側の主張に驚く。

そしてさらに驚くべきことに、その酷い主張の書面を、法廷内で読み上げたというのだ。

裁判に関する様々な資料は、裁判所にすでに提出されており、法廷内で読み上げる、ということは、 裁判官に、傍聴席に、わざわざ聞かせたい、というものである。

すでに書面を目にしている原告側弁護人が「本当に陳述するのか」と確認し、国側は「陳述する」と答えたという。

 

群馬訴訟の原告はこう言った。

「本当に酷いの。自主避難者は加害者だと。

加害者(国)が、被害者に、お前が加害者だと主張するのよ」

裁判所前でコメントする京都訴訟の原告。「自主避難者」でもある。(撮影:おしどりケン)

「思っていても口に出さなかったことを、堂々と公言してくる」

原発事故に関連した集団訴訟は、全国各地で約30件ほどある。

その中で、この群馬訴訟が、もっとも早い進行である。

地裁判決が最も早く出たのが群馬訴訟である。(2017年3月前橋地裁において)

そして控訴審に最も早く進んだのが群馬訴訟であり、その後、他の集団訴訟も控訴審に続いている。

原発事故においての集団訴訟では、国側・東電側の代理人は共通しており、主張も同じである。

今後、群馬訴訟でおこなわれたこの酷い主張が、他の集団訴訟でも読み上げられる可能性は非常に高い。  

 

>「自主避難者」は我が国の国土を不当に評価している<

国の決めた避難区域以外からは逃げるな。

国に従え。

「これは酷いことだけど、国側はみな心の中で思っていたことだと思うのよ、

でもそれを堂々と口にしてくるなんて!」

群馬訴訟の原告はそう語った。

刑事訴訟の判決の旗出し(撮影:おしどりケン)

筆者は、これは原発事故の問題だけではないと感じる。

これは国によるヘイトスピーチだ。

「自主的避難者」に向けての脅迫、侮辱、つまりヘイトスピーチである

 

このようなヘイトスピーチ、 心の中で思っていたかもしれないことを堂々と公言するようになる事態は、

原発事故の問題だけではなく、韓国や中国との関係や、貧困の問題など、 様々な方面で噴出しているように思える。  

社会のあちこちでヘイトスピーチが始まり、 国が、堂々とヘイトスピーチをするようになる。  

 

筆者はこのような事態に絶対に抗議する。

この群馬訴訟における国側の主張も、どのようなヘイトスピーチも許さない

そしてそういう方々が増え、社会自体が、そうなっていくことを願う。  

(許可の無い全文転載を禁じます)

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