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3行まとめ

・2012年9月の記事の再掲。郡山市の方から再掲要望があったため。
・2011年度、郡山市の小中学生を、個人線量計を用いて3回の測定が行われ「平均値」を評価し、屋外活動制限が解除された。
・情報開示請求で、0.5mSv(33~64日間で)を超えた児童の値と学校が開示された。
 

「被ばくの管理というのは、一番大きい値の人を抑えるということです。平均で抑えたってしょうがないのです」

 
これは、黒川眞一・高エネルギー加速器研究機構名誉教授が、2月22日に行われた伊達市議会の勉強会の中で発した言葉である。
黒川名誉教授は、伊達市民の個人線量計によるデータを用いて書かれた宮崎・早野論文にたいするレターを書かれた。
 
長年、放射線管理区域で個人線量計を装着して仕事を続けた者として、こう発言しておられた。
「個人線量計は放射線作業従事者が管理区域内で着けるもの。
しかし原発事故後は一般市民が生活空間で使用しているというおかしな状況。
個人線量計、ガラスバッジは付け方が決まっており、裏表もある。
しかし、事故後の一般市民は首から下げたりして、裏表がくるくる回っていたり、
バックグラウンドを差し引くためのコントロールバッジも無い。」

筆者が印象に残ったのは、以下の言葉である。
「被ばくの管理というのは、一番大きい値、最高値の人の値を抑えるということ。
それを線量限度以下にするということ。
平均で抑えたって、平均で評価したってしょうがないんです、
その集団の中に、高い値の人がいたら、線量限度を超えた人がいるのだったら、
いくら平均値が低くても、放射線管理ができていないということなのだから。」
 
伊達市ではないが、郡山市の子どもたちの個人線量計の値が、平均値で評価されたことに関しての記事を別の媒体で書いていたものを再掲する。
 

【再掲】2012/9/20の記事「情報開示、郡山市・子どもの積算線量」

 
7月29日の記事「郡山の小中学校のホットスポットは今こうなっている」(リンク切れ・後日、再掲予定)で言及した、郡山の小中学校で行われた、クイクセルバッジでの積算線量の計測について、郡山市のA氏が情報開示請求をし、開示された資料を公開する。
これは昨年度に3回にわたって行われたもので、その結果をもって、今年度の小中学校の屋外活動制限が解除された。
 
昨年度(注:2011年度)は郡山市内の小中学生は一日の屋外活動は3時間と制限されていた。
しかし、現在(注:2012年9月)0~2歳児が一日15分、3~6歳児が一日30分、という屋外活動制限は継続されている
郡山市の今年度(2012年度)の小中学生の屋外活動制限の解除の判断の根拠は

①    市内の小中学校の校庭の空間線量の平均値が0.2μSV/h以下になったこと。
②    3回に渡っておこなった児童のクイクセルバッジの積算線量の平均が下がってきたこと。

の2点である。どちらも「平均」で判断していることに疑問を持ち、いろいろ調べてみた。
①の校内のホットスポットについては過去の記事(リンク切れ、・後日、再掲予定)を参照されたい。
では②について。
 
郡山市で、昨年度3回おこなわれた積算線量の計測の日にちは下記である。
第二回:平成23年11月7日~平成24年1月9日(64日間)
第三回:平成24年1月10日~平成24年2月29日(51日間)

郡山市で公表されている結果は下記である。

第一回(33日間) 測定人数:25,551人
最高値:0.45mSv
最低値:0.01mSv
平均値:0.12mSv
※測定対象期間の自然放射線被曝相当量0.06mSv(0.07uSv/hで評価)を除いた数値

第二回(64日間) 測定人数:24,115人
最高値:1.31mSv
最低値:0.01mSv
平均値:0.17mSv
※測定対象期間の自然放射線被曝相当量0.12mSvを除いた数値

第三回(51日間) 測定人数:22,287人
最高値:1.83mSv
最低値:0.01mSv
平均値:0.13mSv
※測定対象期間の自然放射線被曝相当量0.09mSvを除いた数値

この3回の結果を持って、屋外活動制限が解除されたのだが、
注目すべきなのは、最高値の児童の値が平均値よりかけ離れて高いことである。
そして、「自然放射線被曝相当量を除いた数値」となっているところも問題である。
最高値の児童が、数十日という測定期間ではなく、一年を通しての積算線量はどれくらいになるのか
自然放射線被曝相当量も足した、実際の一年での積算線量はどうなるのか、
そこは考慮されていない点は大変問題だと筆者は考える。

今回、情報開示請求した資料は、この3回の積算線量の計測で、0.5mSvを超えた児童の線量と件数である。
なぜか、郡山市から、3回ぶんまとめて回答されたため、計測回の区別はついていない。

開示されたのは以下の資料である。

 
黒塗りの横の数字が学年と思われる。
3回の計測で、積算線量が0.5mSvを超えた児童の総数は108名。
 
1mSvを超えた児童は3名

日和田小学校(1年生?)1.83mSv
郡山第一中学校(3年生?)1.30mSv
郡山第六中学校(3年生?)1.31mSv

その他、特に高かった児童は4名

安積第一小学校(2年生?)0.94mSv
安積第一小学校(2年生?)0.86mSv
安積第一小学校(5年生?)0.97mSv
柴宮小学校(2年生?)0.97mSv

となっている。

0.5mSv以上の児童が多数存在した小中学校は、

橘小学校(11名)
郡山第一中学校(9名)
薫小学校(9名)
 
となっている。
 
資料で出てきた郡山市内の小中学校の位置を記入した地図を作成した。
0.5mSv以上の児童が多数存在した小中学校はこの地図の一部に固まっていることがわかる。
(地図上では黒丸をつけている学校)

 
空間線量のおおよその目安を知るため、
「福島県における学校等の環境放射線モニタリング調査結果について(確定値)」

クイクセルバッジによる積算線量の計測の第1回目の調査に近い日にち、

福島県全域の幼稚園、保育園、小中高校の資料のため、積算線量の高い児童が多かった学校の数値を抜き出してみる。
 
(単位、μSv/h)
学校名調査月日測定高さ正門昇降口校庭中央校庭②校庭③校庭④校庭⑤平均値前回平均値
郡山第一中学校9/271m0.860.720.660.650.641.10.630.740.58
橘小学校9/3050cm0.270.300.240.440.270.350.290.321.1
桜小学校9/2850cm0.360.430.360.590.360.420.310.410.54
やはり他地域に比べて高いように思える。
 
郡山市内の小中学校でも、猪苗代湖の南のほうに位置する湖南小学校、湖南中学校は比較的、低い。
学校名調査月日測定高さ正門昇降口校庭中央校庭②校庭③校庭④校庭⑤平均値前回平均値
湖南小学校9/1650cm0.130.100.130.140.150.160.140.140.18
湖南中学校9/161m0.120.100.140.150.160.160.140.150.17

各児童の習慣、行動によっても、積算線量は著しく異なるだろうが、
郡山市内でも学校によって、線量がかなり違うことに気づく。

生徒の屋外活動制限の解除など、「市内の小中学校の平均値」で判断するのではなく、
それぞれの地域、個人に細やかに対応した判断をしてほしい。

今回、学校名を出すことに悩んだが、情報開示された資料は自分たちの判断で隠すのではなく
公開するべきだという考えと、現況を知ってほしい、という思いから、公開に至った。

化学物質に過敏に反応する方がいるように、
放射性物質にも過敏に反応する子供がいるかもしれない。
 
「平均値」と「平均的個人」で判断し、1つの方策を押し付けるのではなく、
それぞれの希望に即した選択肢がたくさん用意されることを望む。

児童に関しては、「避難したい」「ときどき保養したい」などの希望だけではなく、
「水泳の授業は避けたい」「学校の草むしりは避けたい」「線量が高いところのランニングは避けたい」など、
学校生活に関しての様々な要望が取り入れられることを強く願う。

*****

この記事を掲載するにあたって、郡山市の学校名が多々入るので、郡山市民の方々に何人か相談した。
 
すると、驚くべき回答が返ってきた。
「『この夏、少しでも被曝をおさえたいから、窓を開けなくてもすむよう、学校にクーラーを設置してほしい』という請願書が郡山市議会に出されたが却下されてしまった。
 
今でも、様々な線量低減、被曝低減の取り組みが行えるはずなのに、除染以外の予算がつかないのはおかしい。現状を記事にしてほしい」
というのだ。

このエアコン設置の請願についても少し調べた。
平成24年6月19日に請願第24号として
「小学校そして中学校へのエアコン設置を求める請願書」が提出されている。

請願主旨は
①除染で校庭の空間線量は低減したが、一部の学校では再び上昇する傾向にある。
②学校敷地内には多様なホットスポットが生じていることが判明しているため、
 教室の窓を解放しての学校生活は、外部・内部被曝を防止する見地から回避すべき。
③昨年の夏は、扇風機やよしずなどで暑さ対策をしていたが、窓を開放できない限り、その効果は限定的であった。
 子供たちの健康、学習環境、外部・内部被曝を現象させることは、郡山市の私たち大人の重要な責務である。
 
請願内容は

1.小学校そして中学校の教室にエアコンを設置すること。
2.これらに係る費用については後日、郡山市から東京電力株式会社に費用弁償を求めること。

これが6月27日の文教福祉常任委員会で話し合われたが、不採択とされた。
その理由は

1)除染モデル校のうち4校で調査したところ、窓を開放する前と開放した後の教
室内の線量を毎日、週1回測定して教育委員会・各学校のHP等で報告している。
2)窓を解放して授業しても保護者からのクレームは一切ない。
3)保護者からのエアコン設置の要望はない。
4)除染業者のお蔭で震災以前の郡山に戻った
5)節電が叫ばれている今エアコンで電力を使うのはいかがなものか。
6)今日の新聞で子供たちがプールで元気に泳ぐ姿を見てこれが本来の姿と思った。
7)外で自由に元気に運動して汗を流す姿が子供たちの健康にもつながる。
8)自然の気候の暑さ・寒さを体で感じる事も教育。
9)子どもの言いなりになってはいけない。我慢をさせるのも教育。

などが不採択の理由であった。
「我慢させるのも教育」というのは非常に疑問である。
それ以前に、被曝しない環境を整えるべきではないだろうか。

不採択であったが6月29日の郡山市議会全体会で請願書を出した議員から、採択すべきと討論の通告がされた。


岩崎真理子議員

原発事故による放射能汚染によって、昨年の夏は教室の窓の開閉も制限され、
子どもたちは暑さの中で、救急車で運ばれたり、鼻血やあせもに苦しめられました。
現在、外での体育の授業や遊び時間の制限が解除されたとはいえ、
被曝の影響が解消されてはおらず、その上、体力や免疫力が低下傾向にあることを考えるなら、
暑さ対策や放射能汚染対策の点からも学習環境の改善を図り、
整備することは有効ではないでしょうか。
子どもは、この間、さまざまな我慢の連続でした。
これ以上の我慢を子どもだけに求めることをすべきではありません。


駒崎ゆき子議員

放射能汚染という負の遺産を子どもたちに残さなければならない中、
子どもたちへの謝罪こそあれ、我慢させるのも教育とは、私は言えません。
私は、次の理由によりエアコン設置に賛成いたします。
1、子どもを放射能から守るため。
2、子どもの学習環境を整えるため。
3、子どもの健康のため。
エアコンの設置は、この夏に間に合うようにするべきです。
また、エアコン設置には、400万円を超えれば3分の1の補助があると文部科学省は言っております。
また、二本松市や広野町は、事故後、直ちに全教室にエアコンを設置したそうですし、
文部科学省は、東日本大震災の被害を踏まえ、学校施設の整備に関する検討委員会を設置し、
学校に避難所機能を持たせることから、空調設備、冷房について設置するとしています。
今後、学校を避難所とする計画からも教室のエアコン設置は必要です。


蛇石郁子議員

県内では二本松市、伊達市が昨年7月、既に、小中学校普通教室すべてにエアコンを設置しています。
東京電力福島第一原子力発電所事故による放射能汚染は、子どもたちが健康に生活し、
学び、遊び、育つ権利をことごとく奪い去りました。
本来、本市は放射能汚染状況から判断し、学校校庭の表土をいち早くはいだのですから、
あわせて、昨年から小中学校にクーラーを設置してしかるべきでした。
しかし、扇風機、よしずで対応したのは、エコ対策だけではなく予算面での判断と推察いたします。
除染には300億円もの多額の予算をつけているのですから、
学習しやすい環境づくりのために予算を立てられないはずはありません。
また、かかった費用を全額東京電力に求めることも可能です。
呼吸により取り込まれた放射性物質は体外へ排出されにくく、
ごく微量であっても肺の中で放射線を出し続けるため大変危険ですし安心は禁物です。
呼吸による内部被曝をしっかりと防いでいくべきです。
現在も未来も、放射能から完全に子どもたちを守るため、
内部被曝、外部被曝防止対策は最優先事項ですから、
快適な学習環境の中で健康に心配することなく勉学に集中できるよう、
小中学校にエアコン設置を求める本請願は大変意義があります。
 
など、女性3議員が採択の討論をしたが、採決により、再び不採択となった。

******
 
このエアコン設置の請願書が不採択になった件に、福島県の現状があらわれている。
①子供に被曝をさせたくない。
②除染以外の、様々な要望にも予算をとってほしい。
このシンプルな要望が、なぜか取り上げられないのである。
 
 
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