3行まとめ
・4m盤(護岸エリア)の地下水が20日に続き、21日も22日も再び地表面に達する。(溢水)
・昨年10月に海側遮水壁の閉合してから、地下水の水位が上昇し、溢水が懸念されていたが対策は届かず。
・どの程度の汚染が流出するか、確認することは難しい。
記事の追加
22日20時、3回目の溢水の速報のデータを時系列に追加。
23日17時半、時系列に情報を追加
4m盤(護岸エリア)溢水の時系列
20日 | 朝の最大潮位 | O.P.+3861mm | 20日東京電力定例会見にて口頭説明 | |
8:40~16:00 | バキューム車による汲み上げ |
20日東京電力定例会見にて口頭説明 |
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16:30 | O.P.+3811mm |
20日東京電力定例会見にて口頭説明 |
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21:57 | O.P.+3915mm (地表面に達する) |
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21日 | 7:05 | バキューム車による汲み上げ操作開始 | 報道関係各位一斉メール(9/21,12:26) | |
10:00 | O.P.+3877mm | 報道関係各位一斉メール(9/21,12:26) | ||
10:10 | O.P. +3835mm | 規制庁面談資料(9/21)より | ||
22:59 | O.P.+3915mm (地表面に達する) |
報道関係各位一斉メール(9/22,0:46) | ||
23:55 |
【現場確認】 |
報道関係各位一斉メール(9/22,1:21) | ||
22日 | 7:05 |
バキューム車による汲み上げ操作開始 |
報道関係各位一斉メール(9/22,11:33) | |
7:58 |
【現場確認】 |
報道関係各位一斉メール(9/22,11:33) | ||
9:00 | 地表面O.P.+3915mmを下回ってることを確認 | 報道関係各位一斉メール(9/22,11:33) | ||
18:25 | O.P.+3915mm (地表面に達する) |
報道関係各位一斉メール(9/22,19:41) | ||
20:05 | 【現場確認】 ・当該エリア観測井付近からの水の噴き上げは無い ・海側遮水壁に変形は無い |
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23日 | 8:00頃 | バキューム車による汲み上げ操作開始 | ||
10:30 | 地表面O.P.+3915mmを下回ってることを確認 |
(注:O.P.とは Onahama Peil=小名浜工事基準面のこと。小名浜港の水位を基準としてどれだけの差があるかという表記)
20日定例会見での説明
この地下水の水位はドレンポンドBの水位。
ドレンポンドAとCは水位計を抜き、ホースを入れ、バキューム車で地下水を汲み上げている。
(汲み上げ量はバキューム車4台で200m3/d)
そのため、水位を連続監視しているのはドレンポンドBのみ。
溢水の懸念は梅雨の時期から
4m盤(護岸エリア)の地下水に、高濃度の汚染が検出され、海側遮水壁が作られた。
海側遮水壁を作ったのは、汚染水の海への流出を防ぐためである。
しかし、このエリアに上流から流れ込む地下水対策を取らない状態で、海側遮水壁を作ると、水位が上昇したため、
地下水(汚染水)の逃げ道として、10mほど海側遮水壁は開口部を残してあった。
昨年、福島県漁連の許可がおり、上流部である建屋周辺のサブドレン計画が始まった。
サブドレン計画:地下水(汚染水)を汲み上げ、一つのタンクにまとめ、処理して海に排出。(トリチウムは処理できない)
そして昨年10月に海側遮水壁の開口部を閉合することができた。
しかし、その地下水の逃げ道である部分を閉合してから、4m盤(護岸エリア)の水位は上昇していた。
今年は、海側遮水壁を閉合してから、初めての梅雨・台風シーズンを迎える。
そのため、今年の梅雨の時期から、この護岸エリアの溢水は懸念されていて、そのため、DとEに追加対策として仮設ポンプが設置された。
梅雨の時期は乗り越えたが、台風による豪雨は乗り切ることができず、今回、4m盤(護岸エリア)の地下水は地表面に達した。
地下水の溢水を防止が最優先のため、サブドレンは稼働させず
4m盤(護岸エリア)の地下水の溢水を防ぐため、海側の地下水ドレンでの汲み上げを優先させねばならず、
原子炉建屋周辺のサブドレンによる地下水の汲み上げは、ほとんど停止している。
地下水ドレンとサブドレンの集水タンクは、共通のため、地下水ドレンからの汲み上げ量を優先するためには、
建屋周辺のサブドレンの汲み上げを停止せざるを得ないのである。
そのため、原子炉建屋への地下水の流入量は増えた。(結果、汚染水は増えた。)
サブドレンの通常の稼働状態
台風対応で、地下水ドレン優先のため、サブドレン一次停止状態
規制庁は対策・検討を指示、しかし間に合わず
地下水ドレンとサブドレンが共通の集水タンクのため、豪雨になると、4m盤(護岸エリア)の溢水対策として地下水ドレン優先となる。
結果、サブドレンは豪雨にも関わらず稼働しないということになり、建屋地下への高濃度汚染水への流れ込み量が増える。
そのような状況を改善するため、原子力規制庁は8月25日の面談にて、東京電力に対策を検討するように指示していた。
筆者はこの件を、たびたび確認しており、東京電力定例会見にても質問したが、
9月20日時点でも、特に何も対策はとっていない、とのことであった。