安全保障関連法案に反対する学生と学者の共同行動
7月31日、「安全保障関連法案に反対する学生と学者の共同行動」が砂防会館にて開催された。
1部、2部で、学生5名、学者4名の素晴らしいスピーチが行われ、会場には拍手、笑い、涙が溢れた。
そのスピーチを順次、書き起こす。
SEALDs 自由で民主的な日本を守るための、学生による緊急アクション
書き起こし目次
1部
2部
明治大学大学院 千葉 泰真さん
皆さんお疲れ様です。
昔、ナポレオン軍を打ち破ったイギリスのウェリントンはこう言いました。
「本当に勝ったのは戦いをしない国だ」と。
彼は、幾多の戦場を経験し、人間と人間が殺しあう事の悲惨さそしてそれは、何も産み出さない、という事。
戦争に参加しない、という事は、どれ程尊い選択なのかを、悟ったのでしょう。
戦争に勝ってわかるもの、戦争に負けてわかるもの、その思考の出発点は違えど、このウェリントンの感覚に似た物がこの国にもあります。
それは、かつて敗戦によって悲しみの底の投げ出された日本人だからこそ持てる感性。
二度と戦争をしないと誓った日本国憲法第9条に表された、非戦の感性です。
大きな犠牲を経て培ったこの類稀な感性を軽薄に投げ捨てるということは、
あの悲惨な戦争で犠牲になった、数多の先人達に対し、余りにも冒涜的ではないでしょうか。
ここで、先日朝日新聞に寄せられた投稿をちょっと読みたいと思います。
この方は86歳のお爺ちゃんで、昔特攻隊員として召集されていた方の投稿をちょっとだけ読みたいと思います。
「安保法案が衆院を通過し絶えられない思いでいる。
だが、学生さん達が反対のデモを始めたと知った時、
特攻隊を目指す元予科練だった私は、嬉しくて涙を流した。
身体の芯から燃える熱で涙が湯になる様だった。
おーい、特攻で死んで行った先輩、同胞たち。
今こそ俺たちは生き返ったぞ、むせびながら泣いた。
天皇を神とする軍国で貧しい思考力しか無いままに、
『死ね』と命じられて爆弾もろとも敵艦に突っ込んで行った特攻隊員たち。
人生には心からの笑いがあり、友情と恋が溢れ咲いている事すら知らず、
五体爆裂し肉片となって恨み死にした16歳、18歳、20歳。
若かった我々が生まれ変わってデモ隊となって立ち並んでいる様に感じた。
学生さん達に心からの感謝する。
今のあなた方の様にこそ我々は生きて居たかったのだ。」
(投稿は、加藤敦美さん、関連の朝日新聞記事 http://digital.asahi.com/articles/ASH8C5J3QH8CPTIL02M.html)
この様な投稿が朝日新聞に載っていたんですけど、この記事を読んだ後僕は国会前に立つ時、
いつもかつての戦争に短い生涯を散らした先人達が近くに居て、「がんばれ」と背中を押してくれている様な気がするんです。
もう一度言いたいと思います。
「大きな犠牲を経て培ったこの類稀な感性を軽薄に投げ捨てるということは、
あの悲惨な戦争で犠牲になった、数多の先人達に対し、余りにも冒涜的ではないでしょうか。」
安倍内閣総理大臣、僕もあなたも戦争を知らない戦後生まれです。
でも、僕とあなたは違いますね、僕とあなたを分かつ決定的な違い。
それは、権力の大きさでも家柄でもありません。
それは、知性で色付けられた想像力です。
あなたは戦争という、全ての人権を否定する人類の行ないで最も愚かな行為に対する想像力が、
また、その結果生じる死への想像力が圧倒的に欠如しています。
戦局と呼ばれる状況は、ハリウッドのいかなる悲惨な戦争映画の何倍もの悲劇に満ちている物です。
戦争で死ぬというのはどういう事でしょうか。
身体中に銃弾を浴び、激痛に悶えながら息途絶える兵士。
爆撃で未来を奪われる子供たち。
敵国の兵士に暴行される女性。
戦時下という異常事態では人間を縛るものはありません、ありとあらゆる蛮行がそこには存在し、人道や倫理といった言葉はそこには存在しません。
戦争で「死ぬ」という事は、それが正当化される大量殺人である、という点において他のあらゆる「死」とは明確な違いを持つのです。
安倍内閣総理大臣、あなたはこのような戦争で日本が巻き込まれる、という話が出ると、
大げさだと思い込み、時にはそれを口に出しまるで聞く耳を持たない態度を示しますね。
いったい何が大げさなのでしょうか。
先日、先制攻撃の可能性まで口にした政府のリーダーとして、
無垢な罪の無い人間の死に日本が関与するという、十分に起こりうる予測に対し、「大げさだ」と一蹴するあなたの態度は余りにも不誠実です。
今、世界中が日本に注目しています。
この立憲主義を否定する、反民主主義の政権に対し、日本の市民、メディア、そしてアカデミズムはどう反応しこの国難を乗り切るのか注目しています。
声を上げられずにはいられなくなった時、行動せずにはいられなくなった時。
民主主義は始まっているのです。
今こそ世界中に、日本の民主主義を示す時です。
あの、どっかのお茶のCMで言ってましたけど。
日本人の味覚が一番優れているっていってましたね。
世界一鋭い味覚を持っているよりも、70年、100年戦争に参加しない国。
世界で一番民主主義が根付いた国の方がはるかに美しい国だと僕は思います。
そして僕は、そんな誇り高い国民になりたいです。
不条理を通そうとする政治に対し、悪政の烙印を押し、
声を上げることで抵抗の意思を示す事は私たちの権利であると共に義務であります。
誠実な知性を用いて矛盾と向き合い続ける事は、学問という知性を生業とする者の義務なのです。
悪政の前に学問が無力である時代は僕たちの手で終わりにしましょう。
最後に、人類が子々孫々に紡いできた、学問という叡智の名の下において。
今日ここで政府の行為によって再び戦争のさんかが起こる事の無い様にする事を再び決意し、
ここに主権がが国民に存する事ももう一度宣言します。
そして学生と学者、市民は世代を超え団結しこの安保関連法案に反対します。
必ず、必ず廃案にします。
コールをあげ続けましょう、負けません。
明治大学大学院 千葉泰昌。
ありがとうございました。
千葉くんのスピーチを聞いて涙する山口二郎先生
前のほうで聞いておられた、法政大学、山口二郎教授が、千葉くんのスピーチで何度も涙ぐんでいらした。
山口教授は、集会、デモの後、こうつぶやいていらした。
「集会で学生が、過日の朝日投書欄に載った元特攻の予科練にいたという老人の投書を読んだ時に、
涙が止まらなかった。我々は良い学生を持てたなあと思う。
おかしいと思ったら声を上げ、街頭に出る。それが民主主義」
本日砂防会館の集会から日比谷公園までのデモに参加。デモでは先頭を歩きバナーをもった。集会で学生が、過日の朝日投書欄に載った元特攻の予科練にいたという老人の投書を読んだ時に、涙が止まらなかった。我々は良い学生を持てたなあと思う。おかしいと思ったら声を上げ、街頭に出る。それが民主主義
— 山口二郎 (@260yamaguchi) July 31, 2015
対話により、数々の紛争問題を解決してきたアダム・カヘン氏の言葉を思い出す。
「関わらないのは中立ではない。
傍観者は、世間知らずの単純さか、ずるさの証拠」
熟議民主主義では、政党とするに足る合意は対話に由来すると考える。
おかしい、と思えば、知り調べ考え、発言し、動く。
先人たちのその積み重ね、時には命がけの活動で、私たちは今、恩恵を受けている。
あなたは、傍観者ですか?
安保関連法案を、読みましたか?