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汚染されたサブドレンの閉塞は臭いものに蓋!?

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3行まとめ

・サブドレンNo.15~19はつながっており、汚染されていることがわかった。
・10月の監視・評価検討会では、No.15~17については閉塞するか、汚染水を抜くか検討、という結論で終わった。
・11月の監視・評価検討会の前に、突然サブドレンNo.17が閉塞された。

サブドレンの基礎知識

サブドレンとは、地下水をくみ上げるための立坑である。
福島第一原発敷地内には地下水が一日1000tほど流入している。
これをそのままにしておくと、建屋が地下水の浮力を受けたり、建屋に地下水が流入するため、
建屋の周辺の立坑(サブドレン)を作り、ポンプで地下水をくみ上げていた。


サブドレン2
https://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/tokutei_kanshi/data/0028_02.pdf


これは原発事故前もずっと行っていたが、事故後はサブドレンによる汲み上げは行われておらず、地下水は建屋に流入している。
(そのため、流入した地下水は、建屋地下の高濃度汚染水と混じり、日々、汚染水が増加している。)


汚染水対策として、凍土壁、地下水バイパス、遮水壁など様々なものがあるが、サブドレン浄化計画もそのひとつとして遡上に上がっている。

既設のサブドレンで使えるもの、新設のサブドレンから、地下水をくみ上げ、浄化して海に流すという計画である。
(現在、福島県漁連に説明会を開くなど、関係各所と調整中)

この計画の是非は長くなるので、今回は、高濃度汚染が見つかったサブドレンNo.15,16, 17についてまとめる。


汲み上げて浄化して海に排出する予定のサブドレンNo.18,19は高濃度汚染


10月22日、No.18,19サブドレンピットからのくみ上げ水に高濃度の放射性物質が確認された。

Cs-134 Cs-137 全β
No.18 94,000Bq/L 330,000Bq/L 390,000Bq/L
No.19 100,000Bq/L 360,000Bq/L 390,000Bq/L
No.15,16,17,18,19のサブドレンは横引き管でつながっており、
No.15,16,17の高濃度汚染水が流れ込んでいるものと東京電力は推定した。

10月29日、No,16採取
Cs-134 Cs-137 全β
No.16 852,400Bq/L 2,922,000Bq/L 3,178,000Bq/L

サブドレン連結
http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/tokutei_kanshi/data/0029_02.pdf

この汚染は、何なのか。
汚染されたガレキによるものか。
建屋の高濃度汚染水が漏えいしているのか。

筆者が当初から懸念として、1/2号排気筒の存在がある。
福島第一原発敷地内で、もっとも高線量が観測された部分がこの付近に存在するのである。
1/2号排気筒のSGTS配管には、25SV/h15SV/hの部分がある。
ミリもマイクロもつかない、毎時25シーベルトである。

規制庁の検討会では、詳細な調査を要望

10月31日の特定原子力施設監視・評価検討会では、この件に関してかなりの議論で白熱した。
阿部弘亨東北大学教授はまずこう指摘した。

非常に高い放射性物質がサブドレンから出てきた大変なことになった
建屋滞留水の漏えいではないと考えるというが、では何なのか、答えがない。
 
サブドレンNo.16、17を閉塞する計画というが閉塞しても何も解決しない。
連結管をとめることは何も解決していない。
 
むしろ16、17から抜くべきでは
そこから抜けば、周りへの拡散をある程度抑制できる。
ここから優先して抜くことを考えたほうがいいのでは」
 

渡邊明福島大学教授はこう指摘した。
「サブドレンNo.15、16、17の近くに新設ピットがある。
ここから汚染が出ていないというのは非常にラッキーなことだ。
上流側に流れ込んでいて拡散していない。
 
どう考えても炉から出ていると思う
サブドレンNo.15、16、17からは汚染水を抜いて、拡散しない努力をしてほしい。
サブドレンピットについては別の目的で。」

この検討会の座長である更田豊志規制委員はこう指摘する。

「本来のサブドレンの計画(浄化して放出)のために抜かない、という判断はわかる。
しかし、とってもよう、というわけには汚れてたから忘れいかない。

 
建屋から汚染がきていない、というのは喜んでいいのか悪い話なのか
建屋から汚染がきてないのに高度に汚染されている、余計悪いのではないのか」
 
複数の委員から指摘されるたび、そして最後にも東京電力廃炉推進カンパニー松本純プロジェクト計画部長がこう応えた。
「サブドレンの機能をいかすと遮断をして使うことになる。
サブドレンに注目して資料を作ってしまった。
 
今日はその部分(高濃度汚染があるサブドレン15,16,17の対策に触れていない
サブドレン計画にとらわれてしまった。
申し訳ありませんでした。」

渡邊先生が、建屋の滞留水と地下水の比較をすると、東京電力の論拠は出てこない、と指摘する。
組成比はどうなのか、と質問すると、

東京電力は
「そういう意味では特定するための評価、分析は比較している。(しかし資料では提出していない)
(今回は)一次的な違いを示した。」

そして
「閉塞をするのがいいのか、15、16、17から汚染を抜けるものがあれば抜ける検討をしていきたい。」
とまとめた。
今回は資料も不十分、検討は今後も続けるという形で議論は持ち越されるものと筆者はとらえた。

11月14日にサブドレンNo.17を閉塞

しかし、突然11月14日の日報にて、サブドレンNo.17の閉塞作業を始めたことが書かれていた。
これは規制庁の許可をどのように取ったのであろうか。

11月17日の東京電力定例会見にて、筆者は質問したが、東京電力の回答は
「面談なのか、現地にいる検査官に説明しているか分からないが、何らかの情報提供はしてるはずだ」


筆者はこの時点で規制庁の面談資料を調べていたが、無かった。
規制庁は、被規制者との面談があった場合、概要と資料を全て公開している。
11月22日現在でも、サブドレンNo.17閉塞についての掲載は無い。
(調べ漏れ、もしくは掲載遅れなどがあるかもしれないが)

11月21日の特定原子力施設監視・評価検討会にて、サブドレンについての説明があった。

すでにNo.17のサブドレンが閉塞されたことについての異議は出なかったが、
今後、No.16も閉塞していくという計画については、それは認められない、
まず次回の監視・評価検討会の際にNo.17を埋めた後の状況報告と議論を、とのことであった。
阿部教授は欠席であったが、渡邊教授は前回と同様、指摘されていた。

15、16の高濃度汚染はいったい何なのか調べる必要がある。
 

16を止めるのではなく、汚染水をくみ上げるという方策をとれば汚染源が少なくなる
たんなる対策としてそのまま汚染源を放棄するというのはどうなのか。
汚染源の問題も含めて検討してほしい。」


検討会後に渡邊先生に取材。

渡邊明教授にサブドレンNo.17の閉塞について質問した。
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渡邊明福島大学教授
「当初の想定していた汚染源と違っていた場合、どうなるのか。
汚染源は封じ込めるのではなく、汚染源をできるだけ減らす、という対策をとってほしい。
地中に高濃度汚染があるとわかっていて、放置するということは、それは最終的に海への汚染につながる。
福島の人間として、そういう汚染源はやはり極力低減してほしい。

しかし一方、作業が進まないと困るという点も理解できる。
サブドレン計画の進捗も重要だろう。

(前回の検討会から、今回の検討会の間にサブドレンNo.17を閉塞してしまったことについては)

私もそれはもう少し議論があると思っていたが、済んでしまったことは仕方がない。
許認可を出すのはあくまでも規制庁で、この検討会で許認可を出すものでもない。
私は単なるアドバイザーなので、文句言えない立場でもある。
 

しかし、サブドレンNo.16を閉塞するというのは認められない、その話は無い。
 
kinjyou01
原子力規制庁1F事故対策室金城室長

その後、規制庁金城室長にぶら下がり取材で確認した。

ーーサブドレンNo.17の閉塞について、東京電力から何か報告、面談があったのか

「事故収束に関する作業はある程度自由にやっていいことになっている。
ガレキ撤去などについていちいち詳細な許可は必要ない。
No.17の閉塞についても、何らかの報告はあったのではないか。」

他の規制庁職員が後ろから「面談があった」と発言され、
では面談資料はどこなのか教えてほしい、と言うと「まだ掲載されていないのかも」ということであった。


しかし、NO.17閉塞は11月14日で、それ以前の面談資料はほぼ掲載されており、筆者が調べた限り見つけることはできなかった。
(調べ漏れがあるかもしれないが)
(この件については今後も確認したい。)

高濃度汚染や、想定外の水位の挙動などが確認されるたび、
詳細な調査をせずに閉塞、放棄、故障などで片付けられるという現状は、原発事故後の対策として間違っていると思わざるを得ない。

筆者も含め、地下水から高濃度の汚染が発見されることについて慣れてしまっている感がある。

半減期2年のセシウム134が地下水から85万2400Bq/L、地下水から観測されていることは異常である。
セシウム137は292万2000Bq/L 全βは317万8000Bq/Lという高濃度である。

サブドレン計画を急ぐあまり、汚染源の調査をしない、というのはいかがなものか。
検討会で多数の指摘があっても、関係なく閉塞を、という今回の件は、検討会の位置づけにも疑問を感じる。

 

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